Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
本研究の目的は,宇宙で発生する電荷交換反応機構を地上実験により解明する事である.太陽風等に含まれる高階電離イオンと地球近傍に存在する中性物質間の電荷交換反応によって発生するX線輝線は,X線による天体観測の際にバックグランドになるだけでなく,希薄な大気の組成を調べるツールとしても魅力的な対象である.しかし,これまでの地上実験では,十分な条件で測定が行われていない.我々は電荷交換反応機構を理解するために,高分光性能を誇るTES(超伝導遷移端温度計)型X線マイクロカロリメータとECRISを組み合せた地上実験を進めている. 本年度は,運搬可能な小型冷凍機(2段式断熱消磁冷凍機:dADR)にTESカロリメータの読み出しに必要なSQUID(超伝導量子干渉計)とTESカロリメータを導入し,動作試験を行った.SQUIDは磁場に非常に敏感な素子な為,高透磁率金属であるパーマロイと超伝導物質であるNbで磁気遮蔽を行った.その結果,SQUIDが正常に動作する事を確認し,TESカロリメータの性能評価に使用している希釈冷凍機と比較して,約3倍程度のノイズレベルに有る事を確認した.今後,配線のシールドなどを行い,改善してゆくべき点であるが,TESカロリメータの読み出しとしては十分なレベルのものである.次に,dADR内にTESカロリメータを導入し,その動作確認(超伝導遷移温度の確認)を行った.本来ならば,転移しているはずの温度まで冷えてもTESの動作を確認することが出来なった為,ホール素子を用いてdADRに使用している磁場の影響を調査した.その結果,4G程度の残留磁場の存在が示唆され,これがTESカロリメータに影響を与えていると考えられる.今後,測定した磁場分布を元に磁気シールドの最適化を行い,TESカロリメータの動作を実現し,電荷交換実験の応用へと進める.
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