Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2012: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
制御リビングラジカル重合(CLRP)の発展により,これまでに様々な構造を持った高分子や,様々な機能を持った高分子材料が生み出されている。しかしながら,CLRPにおいて未だ克服困難な課題の一つとして,作製するポリマーの高分子量化が挙げられる。CLRPでは通常のラジカル重合に比べて分子数が多いことから高分子量化(数平均分子量100万以上)することは困難であった。これまで高分子量化の方法として,6000barといった高圧下で原子移動ラジカル重合を行うことにより高分子量化を達成しているが,過酷な条件のため工業化困難である。 そのような中当研究室では,有機テルル化合物を制御剤として用いる新規な制御/リビングラジカル重合であるTERPを,重合中に疎水性モノマーの付加により両親媒性となる水溶性制御剤の自己組織化ミセル形成を利用することで,無乳化剤乳化重合系への適用に成功し(emulsion TERP),分子量分布の狭いポリアクリル酸ブチル,ポリスチレン(PS),ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子の作製に成功している。さらにこの粒子径が20nm程度と非常に微小な粒子が得られることを明らかにしている。 本年度は,このemulsion TERPにより作製できるナノ粒子を反応場として用いることで,物理的にラジカル停止反応を抑制し(Segregation effect),これまでに常温・常圧下では作製困難であった高分子量ポリマーの作製を試みた。モノマー/制御剤比を10,000以上となるように理論分子量を設定し,スチレンのemulsion TERPを行った。その結果重合率は24時間で90%に達し,凝集もほとんど観察されなかった。さらに,得られたポリマーの分子量分布を測定すると,重合率と共に数平均分子量は増大し,最終的には約100万程度のPSが得られた。同条件の反応を塊状重合系で行うと,24時間で重合は10%程度に留まり,分子量も5000程度の値であった。このことから,emulsion TERPにより作製できる微小反応場を利用した高分子量ポリマーの合成に成功した。
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