先行中胚葉が生み出す伸展刺激の脊索形成における役割
Project/Area Number |
10J02090
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Developmental biology
|
Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
原 佑介 総合研究大学院大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2010 – 2012
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
|
Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2012: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
|
Keywords | 原腸陥入 / 力学刺激 / 細胞・組織移動 / 力の測定 / 脊索形成 / Wnt/PCP / 力学的刺激 / 細胞移動 / レーザーアブレーション / 細胞極性 / ガラス針を用いた力の測定 |
Research Abstract |
本研究はアフリカツメガエルの原腸胚における隣接した2種類の組織(先行中胚葉(LEM)、中軸中胚葉(AM))の関係をモデル系とし、胚発生における力の発生と、それが隣接する組織と後の発生現象に及ぼす影響を統合的に理解しようとしている。これまでの研究でLEMがAMより早く移動する事から、原腸陥入時にはLEMがAMを牽引している可能性が示されていた。また、AMにおいて見られる脊索形成はLEMの移動能が無いと失敗することが報告されていた。本研究はLEMの移動とAMの形態形成を結ぶ因子が「力」であると予想し、その二者の関係を研究していた。本年度は(1)(2)(3)の解析を行い、LEMの移動が生み出す伸展刺激がAMの形態形成を制御していることを実験的に示し、さらに既に報告されている分子メカニズムと本研究の間に密接な関係にある可能性を示した。 (1)先行中胚葉が生み出す伸展刺激の存在を明らかにする マイクロガラスニードルによる力の計測系に加え、レーザーアブレーション法を用いてLEMおよびAM領域における力分布のマッピングを行った。その結果、LEMが移動できる条件のAMの方がLEMの移動がないAMに比べて切断の反動が大きい傾向にあることがわかった。さらに、中期原腸胚から側領域を切り出して、直後に見られる胚内の張力依存的な組織収縮の速度を定量的に解析した。その結果、胚がLEMが進めない状況に置かれている場合はAM領域の収縮が緩やかになることが分かった。この結果は、外植体・生体内両方においてAMがLEMの移動によって実際に伸展力を加えられていることを示している。 (2)正常な原腸陥入における先行中胚葉の必要性の検証 前年度に引き続きLEMの外科的除去やLEMの移動に必要な基質のノックダウンを通してLEMの移動阻害を行ったときの影響を全胚レベルで観察した。その結果、移動能をもつLEMがAMに対して伸展刺激を生み、その刺激を利用して正常な脊索形成に必要な細胞の整列や相互入り込みの制御をしている可能性が示された。 (3)中軸中胚葉におけるWnt/PCPシグナル経路の働きとの関連を明らかにする 過去の知見より、AMの形態形成にはWnt/PCPシグナル経路による細胞骨格やその関連因子の制御が重要であることが知られている。このシグナル経路による制御と本研究によって明らかになったLEMによる制御の関連を二重ノックダウン実験によって調べたところ、それぞれ単独でノックダウンしたときよりも、二重ノックダウンの影響が重篤であることが分かった。これより先行中胚葉の移動による脊索形成の制御機構はWnt/PCPシグナル経路と協調して働いていることが分かった。 以上の結果は、生物の発生における力の発生と伝達およびその役割を示めす重要な結果である。現在、国際誌に論文を投稿中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度までの研究を通して、LEMの細胞移動が生み出す力の存在・大きさと、隣接組織が受け取る力の存在を確かめることができた。また、そうした力が正常な原腸陥入に必要であろうことを支持する結果も得られた。したがって、当初の目的に沿って研究を進められたと考えられる。しかし、論文投稿が年度終了までに間に合わなかったため、ここでの区分は(3)とした。
|
Report
(3 results)
Research Products
(5 results)