Project/Area Number |
10J02481
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
植物分子生物・生理学
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岡本 昌憲 岡山大学, 資源植物科学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2010 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2011: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2010: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 植物ホルモン / アブシジン酸 / 種子発芽 / ケミカルバイオロジー / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
アブシジン酸(ABA)不活性化酵素(CYP707A)は、種子発芽時、乾燥、乾燥後の再吸水、高湿度などの環境刺激によって発現が誘導され、ABA内生量を制御する上で極めて重要な役割を果たしている。現在のところ、CYP707Aの発現を制御する因子に関してはこれまで報告がなされていない。CYP707Aの遺伝子発現は、ABA投与によって発現が増加することが知られている。また、CYP707Aの発現が低下した変異体や発現が増加したトランスジェニック植物はABAに対して感受性が変化する。そこで、ABAと類似の作用を示す化合物を用いたケミカルゲノミクスにより、CYP707Aの発現を制御する因子の特定を試みた。ケミカルスクリーニングにより、ABAと類似の作用を示す化合物を、ABA受容体(PYR/PYLs)とそのターゲットであるPP2Cを用いたYeast two-hybrid法と種子発芽試験を組み合わせて多数同定した。その中で、LC66C6と名付けた化合物は低濃度で、ABAと同様に、発芽阻害、根の伸長阻害、気孔閉鎖を引き起こした。マイクロアレイの解析によって、変動する遺伝子群のほとんどがABAと同様に変化したことから、LC66C6が植物の様々な器官で作用する新奇ABAアゴニストであることが明らかとなった。この化合物を用いて、発芽を指標としたスクリーニングにより変異体の同定を進行させている。遺伝子同定が容易なT-DNAモホラインプールを用いてスクリーニングを進行している段階であるが、現在、弱いながらも、LC66C6とこの化合物と類似構造のアナログに耐性を示す変異体が単離されている。これら変異体は、これまで報告のない遺伝子をコードしているものがほとんどであった。今後、さらなる変異体のスクリーニングを進行させると共に、ABAとその代謝産物、CYP707Aの発現解析を統合して、CYP707Aの発現制御因子の同定を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新奇ABA様化合物LC66C6とT-DNAホモラインのスクリーニングにより、ABA感受性の変化した変異体を同定した。この点に関しては研究が順調に進展していると思われる。しかしながら、現段階でこれら変異体が、CYP707Aの発現制御に関わり、かつ原因遺伝子が水ポテンシャル制御下にあるかどうか定かでないため、現段階での研究達成度はやや遅れていると判断するほうが妥当と思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
ABA感受性の変化した変異体において、CYP707Aの発現の変化の有無を調べる。また、原因遺伝子が高水ポテンシャル処理などにおいて、遺伝子発現が変動するかどうかも調べる。最終的に、候補変異体の内生ABA量やABAの代謝産物を定量することにより、CYP707A制御因子候補かどうかを明らかにする。CYP707Aの制御因子候補の場合は、水ポテンシャルとの関係をより具体的に解析する。一方、CYP707Aの制御因子でないと考えられる場合には、ABAのシグナル伝達に関与している可能性があるので、研究計画を変更し、既存のABAシグナル因子との関係性を明らかにする。
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