Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2012: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
シリコンは結晶のサイズを10nm以下にすることで量子サイズ効果が発現し,その大きさによってバンドギャップの大きさを制御できる。すなわち,結晶のサイズによって吸収する太陽光スペクトルを紫外から近紫外までチューニングすることができる。このような,量子サイズ効果を利用した次世代太陽電池の開発が世界中で行われているが,発電効率20%を上回る太陽電池の開発は未だ報告されていない。その原因として,量子ドットのサイズ分布や位置制御を原子スケールで制御するには至っていないことがあげられる。本研究では,予め気相合成したシリコンナノ粒子を溶媒に分散させたシリコンインクを作製し,これをスピンキャスティング(塗布プロセス)によって均一な薄膜に加工する方法を開発した。これを用いて光吸収特性を調べた結果,シリコンの直接遷移に相当するエネルギーギャップ(紫外領域)に顕著なサイズ効果が出現することを明らかにした。一方,間接遷移に対応するエネルギーギャップ(可視~近赤外)には明確なサイズ依存性が発現しないことも同時に明らかにした。そこで,量子サイズ効果だけでなく,大きな比表面積を有する点に着目し,p型半導体有機材料(P3HT)とシリコン量子ドットをブレンドし,バルクヘテロジャンクション(BHJ)構造を有する量子ドット増感太陽電池を開発した。その結果,シリコン量子ドットの重量割合が約60%に相当する場合,発電効率約1%を達成した。これは,我々が既に開発したショットキーバリア太陽電池の発電効率0.01%をはるかに上回っており,適切な半導体材料との組み合わせにより,シリコン量子ドットによる光キャリアの生成,分離,輸送を改善できることを明確に示している。今後,より分散性の高いシリコンインクの作製と最適なBHJ構造の探索,さらにシリコン量子ドットのドーピングが,飛躍的な効率向上に不可欠である。
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