Project/Area Number |
10J02839
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理(理論)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西岡 辰磨 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2010 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2010: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 超弦理論 / ゲージ/重力対応 |
Research Abstract |
超弦理論は一般相対性理論と素粒子標準模型を統一するほぼ唯一の究極理論として期待されておりその発展は目覚ましい。約10年ほど前にはゲージ理論と重力理論の間にある種の双対性があることが超弦理論を用いた解析により予想された。これは現在ではAdS/CFT対応と呼ばれ、様々な物理現象に対して応用されている最も大きな超弦理論の研究分野の一つである。その応用の一例としては、通常格子ゲージ理論のような数値計算なしには解析が困難なゲージ理論の強結合領域の性質を、古典重力理論を用いた非常に簡単な計算によって明らかにすることができる。特に近年、AdS/CFT対応は物性系へ応用できることが分かってきた。その一つの例として実験室で実現されるような超伝導体を重力理論で記述するモデルがHartnoll-Herzog-Horowitzらにより2008年に提唱された。このモデルはBCS理論を定性的に良く再現しており非常に興味深い。 この様にAdS/CFT対応を用いることで現実の物性系を解析的に記述できる可能性が期待されるが、私は上記のモデルをAdS時空とは少し異なるAdSソリトン時空に変更することによって実際に超伝導体/絶縁体相転移が重力理論で記述できることを示した(TN-Ryu-Takayanagi,JHEP 1003:131,2010)。この私のモデルを更に一般の時空に拡張すればより多くの物性系が記述できるようになることが期待される。 また私は時間依存性のある場の理論を重力理論で解析する手法も開発した(Das-TN-Takayangi,JHEP 1007:071,2010)。一般に時間依存性のある場の理論は特殊な場合を除いて解析が非常に困難である。私はAdS時空上の重力理論にDブレーンと呼ばれる超弦理論の中のオブジェクトをうまく時間発展させることにより、対応する場の理論において場の質量が時間依存するような系を実現することができた。私のモデルは非常にシンプルであるため、今後大いに拡張の余地があるだろう。
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