女性が語る歴史 ―ユダヤ系メキシコ詩人 Gloria Gervitzをめぐって―
Project/Area Number |
10J02908
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
各国文学・文学論
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
仁平 ふくみ 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2010 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2012: ¥300,000 (Direct Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2011: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2010: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
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Keywords | 移住 / ユダヤ人 / メキシコ / 女性 / 複数言語使用 / 自己アダプテーション / 文学 / 記憶 / 歴史 / 詩 / 母 |
Research Abstract |
本年度の成果は、まず二本の投稿論文を執筆し、受理されたことにある。論文執筆に際しては、夏期休暇中の海外への渡航による資料収集、筆者との面会および査読者の助言が大変有効であった。 ヘルビッツに関しての論文は、立教大学ラテンアメリカ研究所の所報に投稿した。メキシコにおけるユダヤ移民の歴史を確認し、ユダヤ系女性たちの執筆状況と作風をふまえたことで、ヘルビッツの創作態度と詩作の独自性を提示することができたと考えている。特に強調することとなったのは「移民」 「女性」「複数の言語使用」の関係である。移民の経験を持たないヘルビッツを思わせる詩の語り手が、移民の女性たちの経験を引き受け、自分のものとするために、英語とスペイン語の二言語使用を用いたと論じた。さらに彼女の作品の絶え間ない改稿を自己アダプテーションとして解釈した。そして彼女にとって自己アダプテーションが自己のアイデンティティを常に流動的なものとしておくため意義深いものであるという結論を得た。 もう一本の論文は、ヘルビッツという詩人が中心にはなりえないメキシコ文学において、どのような作品が求められ、正典化されてきたのかを検証したものである。これは昨年度から軸としてすえた「メキシコイメージの捏造」をめぐって考察したものである。 不可視であった移民女性の歴史とその表現としての創作についてはまとまった報告をすることができた、しかし、それを全体的なスペイン語圏文学の枠組みの中で考察するには至っていない。作品を流動的に、様々に関係づけてゆく自己アダプテーションについては、本年度には昨年提示した二人の作家、ロベルト・ボラーニョ(Roberto Bolano)、ロドリゴ・フレサン(Rodrigo Fresan)のうち、ボラーニョについての発表を行った。より詳しい分析の必要を感じている。
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Report
(3 results)
Research Products
(7 results)