Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
地球内部の不均質構造をより詳細に調べるための手法開発として,マルコフ近似理論に速度不連続境界を取り入れ,決定論的手法から求められる構造とランダム不均質構造を仮定した統計的手法の融合を行った.平面波入射の場合の理論は前年度の研究により構築されており,本年度は点震源から放射される球面波の場合へと拡張を行った.速度境界において平面波入射の場合に行った散乱波の角度分布の修正の他に,波面の曲率を修正することにより,短周期地震波エンベロープの理論的導出に成功した.決定論的手法によって地球内部にはいくつかの速度不連続境界が存在することが明らかになっており,本研究で導出した手法を用いることによって,大規模な構造を考慮し,そこに重畳するランダム不均質構造の推定が可能となった.これまでの研究例が少ないマントルにおける短波長不均質構造を解明するために,日本列島直下で発生した地震のS波とScS波をHi-net(防災科学技術研究所)の多観測点を用いて解析した.観測される地震波エンベロープの幅から,マントルにも短波長不均質構造が存在しているが,速度ゆらぎの程度は非常に弱いことを示唆された.この観測されたエンベロープに,本研究で導出したマルコフ近似に基づく手法を適用した結果,リソスフェアにおける短波長不均質は従来の研究と同程度であったが,マントルでは従来の報告例よりも弱い短波長な速度ゆらぎが推定された.この結果は,地震波の相によって受ける速度ゆらぎの影響が異なる可能性と,マントルに非等方な短波長速度ゆらぎが存在している可能性を示唆するものとなった.本研究の手法は浅部の地震に対しても適用可能であり,さまざまな大きさのスケールで地球内部の不均質構造を明らかにされることが期待される.これらの結果をIUGGと地震学会において発表した.また,理論導出の一部をEmoto et al. (2012)として公表した.
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