Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
過剰施肥の回避および肥培管理コストの抑制のための合理的な節肥技術や,砂漠化進行地域の畑作圃場における塩類集積の緩和技術が求められており,これらの技術の確立のためには,根の物質吸収機能に対する環境作用の定量的評価が必須である.根の吸水は,日射強度,湿度,風速などの気象条件によって変化する葉の蒸散に連動して引き起こされ,イオンチャンネルなどの膜輸送タンパク質が存在する根の細胞膜へのイオンのマスフローを駆動している.したがって,各イオン種と各イオン種固有の膜輸送タンパク質の邂逅頻度は,水耕液のイオン濃度だけではなく,マスフローによるイオンの輸送量,すなわち水耕液のイオン濃度と吸水(蒸散)速度の積に支配されると考え,ミカエリス・メンテン式に基づく濃度依存型イオン吸収モデルとは異なる蒸散統合型イオン吸収モデルを新たに提案した.蒸散統合型イオン吸収モデルに基づいて根のイオン吸収に対する環境作用解析したところ,環境作用はミカエリス・メンテン式を構成する2つのパラメータ,すなわち最大吸収速度とミカエリス定数により評価できることを確認した. 本年度では,植物生産場における養水分管理のモデルに基づく最適化を試みるため,蒸散統合型イオン吸収モデルにより,植物生産場の変動環境下における養水分必要量を評価することで,過剰施肥の回避を可能にする養水分管理のロジックの構築を検討した.土耕大型コラム式評価システムを用いて持続型の植物生産技術を検証する吸塩性植物(アイスプラントなど)や好塩性植物などの栽培,休耕などを取り入れた輪作体系ロジックの構築を検討した. 提案したモデルの応用によって,根のイオン吸収に対する環境作用を定量的に評価できることを実証するとともに,養液栽培における節肥(過剰施肥の回避)技術および乾燥地の塩類集積条件下での根のイオン吸収の評価への応用の可能性を示唆した.
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