Project/Area Number |
10J04583
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Molecular biology
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井上 明俊 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2010 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 記憶・学習 / 忘却 / 線虫 / P38/MAPK / 記憶 |
Research Abstract |
動物が生きていくためには、環境から獲得した膨大な量の情報を神経回路で処理し、環境に対して適切に応答しなければならない。このためには、重要な記憶が保持されるとともに、不必要な記憶が忘却されることが重要である。しかし、忘却がどのような分子によりどのように制御されているのかこれまでほとんど明らかにされていない。このような、忘却の制御機構を明らかにするために、単純な神経系を持つ線虫は非常に有用なモデル生物である。私は、遺伝学的スクリーニングや変異体の解析によりP38MAPK経路の変異体において、線虫の嗅覚順応と一種の連合学習が野生型よりも長く保持される事を明らかにした。これらの変異体において、野生型では4時間以内に失われる嗅覚順応の記憶が24時間以上、30分以内に失われる塩走性学習の記憶が1時間以上保持される表現型を示す。イメージング解析の結果、嗅覚順応後には匂い物質の受容に働くAWA感覚神経のCa2+応答が低下し、変異体においてはこれらの応答の低下が野生型よりも長く続くことが明らかになった。また、記憶の忘却においてP38/MAPK経路が働く神経細胞を探索したところ、匂い物質の受容や嗅覚順応には関与しないAWC感覚神経で働くことが明らかになった。さらに、AWC神経細胞における神経伝達物質の放出を促進することによりP38/MAPK経路の変異体の記憶の伸びが抑制されることから、AWC感覚神経はおそらく記憶の忘却を促進するシグナルを放出することでAWA感覚神経における嗅覚順応の忘却を促進していることが示唆された。本研究は線虫における積極的な忘却機構の存在を初めて明らかにしたものであり、今後、哺乳類における忘却機構の解析の糸口になると考えている。
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