Project/Area Number |
10J04730
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Biodiversity/Systematics
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤原 慎一 東京大学, 総合研究博物館, 特別研究員PD
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Project Period (FY) |
2010 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2011: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2010: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 肘関節 / モーメントアーム / 復元 / 角竜類恐竜 / 束柱類哺乳類 / 前肢姿勢 / 這い歩き / 3次元モーションキャプチャー / 筋骨格系シミュレーション / 絶滅動物 / 姿勢復元 / CTスキャン |
Research Abstract |
四肢動物の仲間はこれまでに多様な運動姿勢や運動機能を獲得してきた。特に前肢の筋骨格形態の多様化が動物の生息域や生活戦略の多様化に大きく貢献してきたことは疑いようがない。本研究では、特に四肢動物の運動機能の進化で主要なイベントとされる「トカゲのように肘を張り出す側方型の姿勢と、一般的哺乳類のように肘を体の下に置く下方型の姿勢の進化」に注目した。姿勢の進化と多様化の過程を解明するためには、まず個々の絶滅動物の姿勢が正しく復元されなければならない。しかし、それらの復元は定量的なデータで示されておらず、力学的・解剖学的根拠にも乏しかったため、例えばトリケラトプス(角竜類恐竜)やデスモスチルス・パレオパラドキシア(束柱類哺乳類)などの絶滅四肢動物の前肢姿勢は研究者の主観に頼ることが多く、結果的に様々な復元仮説が出来上がっていた。 この問題に決着をつけるべく、本研究では現生四肢動物すべての主要分類群を対象とした計測を行ない、骨格形態と前肢姿勢の関係を導き出した。本研究では、側方型や下方型の姿勢の違いに伴い、地面からの抗力が肘関節へどのようなモーメントをあたえ、それに対抗して肘関節のどの筋が姿勢維持に重要であるかを予測し、肘関節をそれぞれの方向へ動かす筋のモーメントアームを骨格形態上で計測した。その結果、側方型姿勢、下方型姿勢、そしてナマケモノ類のように地面で体を引きずってあるく這いずり型の姿勢で、それぞれ用いる筋のモーメントアームが発達していることが示された。このことから、絶滅四肢動物の骨格形態の計測に基づいてその前肢姿勢を力学的矛盾もなく、かつ定量的な判別によって復元することが初めて可能となった。本研究成果は今後の古脊椎動物学の復元において重要な根拠を提示するだけではなく、現生動物の生態的な多様性がどのような要因によって生まれているのかを解釈する上でも重要な発見である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は現生四肢動物の主要分類群全ての前肢骨格の形態データを集め、力学的かつ統計的な手法によって四肢動物の運動機能について重要な発見をもたらした。また、前肢姿勢を骨格形態から定量的に復元する手法を構築し、多くの絶滅四肢動物の姿勢復元へ応用した。
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Strategy for Future Research Activity |
四肢動物が前肢姿勢を決定する要因のひとつを肘関節の骨格形態に認めることができた。今後は、肩関節についても骨格形態と運動機能の関係を探ると同時に、具体的に様々な絶滅動物群の前肢姿勢の復元を行ない、四肢動物の系統の中で前肢姿勢がどのように進化・多様化していったかを解明する。
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