Project/Area Number |
10J05387
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Aesthetics/Art history
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
久保 真紀子 上智大学, 外国語学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2010 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2011: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2010: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
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Keywords | カンボジア / アンコール / ジャヤヴァルマン7世 / 建築装飾 / 神格配置 / 浮彫 / 丸彫像 / 碑文 / バイヨン様式 / 浮彫り / 丸彫り |
Research Abstract |
研究目的・対象 本研究は、現在のカンボジア北西部を中心に繋栄したアンコール朝(9世紀~15世紀)が建造した寺院建築を対象とし、寺院伽藍に祀られた神格とその配置を明らかにし、当時の宗教的背景や歴史的背景を考察することを目的としている。ここでは特に、ジャヤヴァルマン7世統治期(12世紀後半~13世紀初)に建造された大規模伽藍の遺跡に焦点を当てる。 研究内容・意義・重要性 アンコール朝が建造した石造の寺院建築では、動植物をモチーフにした模様や神話の場面等の浮彫が、伽藍を構成する建造物の壁面を豊かに飾っている。中でも出入口には、ヒンドゥー教や仏教等様々なモチーフを表した浮彫が施されている。これら出入口装飾は、施設内部に祀られた神格を明らかにするための重要な資料の1つであり、本研究ではこれら出入口装飾を主な分析対象とした。 また、各施設に祀られた神格を同定するための補助的な資料として、施設の出入口枠に刻まれた碑文や、施設内部に安置されていたと考えられる丸彫像についても調査を行った。それらの資料を比較検討することによって、各施設で祀られた神格を明らかにし、寺院伽藍全体としての神格配置を示し、その配置に表現された世界観について考察した。 平成23年度は、前年度から取り組んでいた資料収集と整理を継続し、研究の方法論をより緻密なものにするよう努めた。成果としては、ジャヤヴァルマン7世統治期の主要な大規模寺院の1つであるプレア・カーン遺跡を中心に考察を行い、その伽藍には仏教やヒンドゥー教を含む様々な神格が祀られていたことを確認した。また、伽藍に祀られた神格の配置構成は、伽藍の形成過程に従って変化することを明らかにした。これは、寺院の歴史や宗教の変化の様子を考察するための重要な視点といえよう。また、装飾に表現された神格と、碑文や丸彫像に表現された神格とを比較するという研究方法は新しいものである。本研究では、アンコール朝の寺院建築における装飾が単なる飾りではなく当時の宗教観を反映しうる資料であり、重要な歴史的価値があることを指摘している。この指摘は、世界各地の宗教建築の研究、及び建築装飾の研究にとって、新たな視点を提示するものとして位置づけられよう。
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