Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
ヒトは社会性を持つ生き物であり、生理的な進化だけではなく、他者に対する共感や競争は進化の上で重要な役割を果たしてきたと考えられる。そして、ヒトは種々の情動刺激を受けて快・感動・共感を覚えたとき、その情動に伴い様々な生理的反応を示す。それらは脳波や心電図から客観的に評価することが可能である。そこで本研究では、集団行動実験における被験者に対し多人数同時に生理計測を行い、実験課題や刺激に対する反応の感受性およびその個人差を明らかにすることを目的とした。本年度では、昨年度の多人数での集団行動実験において、他人に対して共感しやすい者が脳波のα波の抑制が大きかったことを受け、なぜそのようなことが起こるかを検討する実験を行った。α波の抑制はミラーニューロンシステムとの関連が示唆されていることから、集団行動を観察することで同様の結果が起こるかを検討したところ、集団行動実験と同様に他人に対して共感しやすい者がμ波(中心溝付近のα波)の抑制が大きいことを示した。すなわち集団行動時に観察されたα波の抑制もミラーニューロンシステムと類似した反応が起こっていた可能性があることが、本年度の実験によって示された。一方で、μ波抑制の個人差は他の心理指標やmtDNA多型との相関関係は無かった。このことは共感のし易さと脳の神経的基盤に他の要因があまり関与せず、一意的な関係にあることを本研究は示唆した。本研究の成果はこれまでに知見の少なかった集団行動実験における生理反応を捉え、特に共感性と脳機能の関連の解明への一助となることが期待される。
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Proceedings of 1st International Symposium on Affective Engineering 2013
Volume: 249-254(CD-R)
Journal of Physiological Anthropology
Volume: 28 : 31(1)(web)
Anthropological Science