Project/Area Number |
10J05649
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Japanese history
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
十川 陽一 早稲田大学, 文学学術院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2010 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 天皇家産 / 造営事業 / 散位 / 律令国家 / 官人制 / 造東大寺司 / 百済大寺 / 労働力徴発 / 宮司の形成 / 外散位 / 正倉院文書 / 皇后宮職 / 律令官人制 / 天聖令 / 飛鳥寺 |
Research Abstract |
本年は、律令国家における天皇家産の位置づけを図るため、下記の通り研究を進めた。 ・造営事業との関係 自身が進めてきた古代の造営事業に関する研究に、本課題の成果を加えた単著を刊行し、律令国家形成における天皇家産の位置を論じた。天皇および天皇家産の存在を背景として制度や全国的支配の形成が展開した一方、律令法体系によって天皇および天皇家産を中心とした支配が位置づけられるという、相互補完的な構造であったことを論じた。 ・散位の研究 散位(官職にない官人)を古代国家の中で位置付けるために、平安時代初期について検討を加えた。この時代の散位が太政官の直接的な支配下に置かれてゆく過程が明らかとなった。さらに中央でも地方でも、臨時の職務などに活用するといった積極的な把握が指向されており、散位まで把握するという官人制の枠組が、平安時代においても残存していたものと考えられる。 また古代国家における天皇家産の位置付けのため、造東大寺司や皇貴族の家政機関における散位の動向に検討を加えた。奈良時代初期から散位の数が増加し、ポスト不足が深刻化する中で、造東大寺司や光明皇后の家政機関である皇后宮やのような官司的機構、さらには長屋王家のような皇貴族の家政機関へ散位を勤務させていたことを指摘。国家が官司を通じて把握しない場合でも、個々の家政機関を通じて緩やかに官人を把握する構造となっていたと考えられる。 ・総括 上述の、法制度と家産的支配との相互補完関係の下で、皇貴族の家政機関にも支配機能の一部を依存するという構造が、ある程度見えてきたものと考える。ただし天皇家産機構そのものの具体的な在り方については、夫解明の点も残るため、今後も引き続いて研究を進めてゆくこととしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に比して、周辺の検討を進めなくてはならない部分(造東大寺司・散位)が発生したため、天皇家産の具体的把握という点では課題を残すものの、これら周辺部分を固めたことにより、従来の研究史では顧みられなかった点からの天皇家産像を素描することができたものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで進めた研究によって素描された天皇家産の在り方を、今後はより具体化してゆくことが求められる。この点については、本課題の中で重要性が改めて確認された造東大寺司に引き続き注目しながら、その全体像を把握してゆくことが課題となる。 また、現在操作概念的に用いている「家産」という語についても、日本古代史の中でどのように定義できるか、検討してゆきたいと考える。
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