樹木木部柔細胞の耐寒性における可溶性糖の役割とその蓄積の制御機構の解明
Project/Area Number |
10J05901
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
木質科学
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
春日 純 岩手大学, 農学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2010 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2012: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2011: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2010: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 樹木 / 耐寒性 / 可溶性糖 / プロテオーム解析 / 凍結応答 / 水分生理 / 水分通導 / プロテオミクス / 国際研究者交流 / フランス |
Research Abstract |
本年度は、季節的な低温脱馴化過程でセイヨウハコヤナギの枝で起こる蛋白質の変動についてのプロテオーム解析を行った。また同時に、生細胞の耐寒性や形成層活動の再開時期、組織に含まれる可溶性糖含量変化なども調べ、これらのプロテオーム変動との関わりについて検討した。 生細胞の耐寒性は、3月下旬まで高い値を維持し、その後、徐々に低下した。形成層細胞の分裂は、4月中旬に開始した。組織中の可溶性糖については、試料採取期間を通して徐々に減少し、特に、スクロース、ラフィノース、スタキオース含量と耐寒性との間に高い相関性が認められた。木部組織のアポプラストに存在する可溶性糖含量は、4月中旬から5月初旬にかけて高い値を示した。この春季のアポプラストの糖含量の上昇は、冬季に柔細胞に貯蔵された炭素源の再分配に関与すると思われる。 タンパク質については、樹皮及び木部由来の細胞膜タンパク質、可溶性タンパク質のそれぞれについて、約1,000種の変動を追跡することに成功した。これらのタンパク質には、糖分析で検出された糖種の代謝酵素やトランスポータも数多く含まれていた。脱馴化過程で蓄積量が減少するタンパク質として、スタキオース合成酵素やスクロースリン酸合成酵素などが見られた。スタキオースやスクロースは植物の耐寒性獲得への関与が強く示唆されており、上記の酵素が糖の蓄積を介した耐寒性制御へ関与することが予想された。また、4月下旬と5月上旬には、木部でヘキソーストランスポータ及びH^+ATPアーゼの蓄積量の増加が見られた。これらのトランスポータは、同時期のアポプラストの糖含量の増加に関与する可能性がある。本研究により、脱馴化時期における耐寒性の変動や糖の輸送に関与が予想されるいくつかのタンパク質を同定できた。今後、これらのタンパク質の生理的な役割を明らかにしていくために、各タンパク質についてより詳細な解析が必要となる。
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Report
(3 results)
Research Products
(11 results)