Project/Area Number |
10J05964
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Sociology
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
古川 直子 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2010 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | セクシュアリティ / 精神分析 / 情動論 / 社会化 |
Research Abstract |
今年度の研究では、まず、19世紀の性科学・精神医学における本能としてのセクシュアリティという概念の登場を検討し、さらにフロイトの不安論を補助線として、欲動論の考察をすすめた。 19世紀の英独仏語圏における「性本能」をめぐる文献の読解を通じて、一般にフロイトの功績とされる生殖に結びつかない性への着眼は、本能としてのセクシュアリティという概念が出現した当初から、すでにこの概念に織り込まれていることが明らかになった。すなわち、セクシュアリティはどれほど可塑的であってもやはり「生殖器官の機能に対応する」本能であるという統一性を失うことはない。この分析を踏まえたうえで、本年度の研究では、不安論の考察を通じて、精神分析におけるセクシュアリティと本能の関係の特異性を明らかにし、19世紀の精神医学において誕生した「性本能」という概念との比較を行った。精神分析の不安論では、対象に先立って存在する不安としての「神経症的不安」と、現実の危険に対する合理的な反応としての「現実不安」が区分される。今年度の研究では、この二つの不安の区分が、フロイトの欲動論における性欲動(セクシュアリティ)と自己保存欲動の区別に対応していることに着目した。 この不安論を通じて欲動論を検討した結果、フロイトにおけるセクシュアリティとは、自己保存と種の保存に役立つ生体諸機能の活動に関わる「本能」の対概念として定義される一方で、その本能活動の内実を担うものとして捉えられていることが明らかになった。すなわち、フロイトの主張とは、M・フーコーが分析したような19世紀精神医学における「本能とセクシュアリティの統合」ではなく、むしろそのような統合からの決定的な断絶を示していると言える。以上のような研究の成果を、査読誌に投稿し、受理されている。
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