Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
雌雄異株植物ヒロハノマンテマ(Silene latifolia)における雄蕊促進メカニズムについて、Y染色体特異的STSマーカーの開発と新規黒穂菌感染花の花芽形成の2つの観点から解析を行った。ヒロハノマンテマはXY性染色体によって遺伝的に性決定する。雄花(♂、XY)では、Y染色体上の雄蕊促進機能因子により雄蕊(♂)が促進される。雌花(♀、XX)はY染色体をもたないため雄蕊は伸びない。本研究ではY染色体上の雄蕊促進機能因子の特定を目指し、マイクロサテライトを利用したY染色体特異的STSマーカーの開発を行った。得られたマーカー、SmicSy1~6(Fujita et al. 2012)のうちSmicSy6は雄蕊促進機能因子の近傍マーカーであることがわかった。雄蕊促進機能因子近傍マーカー、SmicSy6を用いてBACスクリーニングしたところ、SmicSy6を含むBACを単離することができた。今後このBACシークエンスを進めることで雄蕊促進機能因子の同定に近づくことができる。黒穂菌(Microbotryum violaceum)が雌花(♀)に感染するとY染色体をもたないにも関わらず、雄蕊が伸びる。黒穂菌は宿主植物ヒロハノマンテマの雄蕊促進機能に直接作用していると考えられる。本研究では、これら花芽形成への作用に変異を生じた新規黒穂菌変異体Mv537を単離し、感染花の花芽形成を解析した(Fujita et al. 2012)。Mv537に感染した花は花弁が完全抑制され、花弁完全抑制花「Petal-less flower」を咲かせる。Petal-less flowerには黒穂胞子をつけた雄蕊だけが発達し、その他の花芽器官は抑制されるためPetal-lessとなる。この新規黒穂菌変異体Mv537は、雌雄異株植物の雄蕊促進メカニズムの研究に有用なツールとなる。
All 2012 2011 2010
All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results) Presentation (7 results)
G3・Genes|Genomes|Genetics
Volume: 2 Pages: 271-278
International Journal of Plant Sciences
Volume: (印刷中)(掲載確定)
Academic Journal of Sciences
Volume: (印刷中)(掲載確定)(CD-ROM)