Project/Area Number |
10J06405
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Archaeology
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
内記 理 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2010 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2012: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | ガンダーラ / 考古学 / 美術史 / 製作技法 |
Research Abstract |
当初、本年度にパキスタン・タキシラ地方のバダルプール遺跡でおこなわれるイスラマバードの大学の発掘調査に参加する予定であった。しかし、政治情勢の悪化により、発掘は中止された。そのため、パキスタン現地での調査は実現しなかった。 その代りに、現地渡航が不可能な場合の代替案として申請書に記載していた、ヨーロッパでの資料調査を実施した。フランス・パリのギメ国立東洋美術館を訪問し、,パキスタンとアフガニスタンの仏教寺院遺跡の発掘調査で出土した彫刻資料を調査した。その際、ウィーンで開催された研究会や講演会と、パリで開かれた国際学会(南アジア考古・美術史学会)に参加した。これら一連の催しに参加することにより、現段階での最新の研究成果を知ることができた。 そして、研究最終年度である今年度は、3年間で収集した資料の検討から得られた研究成果を公表することに力を注いだ。 まず、これまで調査された考古学遺跡の発掘成果から、彫刻の美術様式の年代に関わる情報を抽出し、ガンダーラ彫刻の美術様式の年代を論じた。考古学的な事実を整理することで、長らく曖昧なままであった美術様式の年代を提示した点と、美術様式の変遷に地域間の共通性があることを明らかにした点が重要である。 また、技術的な側面から彫刻を分析し、彫刻に用いられた技術の地域差と時期差を検討した。まず、ガンダーラ彫刻の技術に、地域間の差異性があることを示した。そして、地域内で、彫刻の技術に時間による変化がみられることを明らかにした。この技術の変化と、先に示した美術様式の変遷は矛盾しない。美術様式の検討からおこなった議論に、技術の検討による実証性を加えた点が重要である。 地域間における、美術様式の共通性と、技術の差異性が何を示すかを、今後検討していくことで、ガンダーラ彫刻を製作した当時の仏教集団の実態に迫っていくことができると考えている。
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