ショウジョウバエをモデルとした行動を制御する神経回路の単一細胞レベルでの解析
Project/Area Number |
10J06772
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Neuroscience in general
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
櫻井 晃 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2010 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | ショウジョウバエ / 本能行動 / 性的受容性 / 動物行動学 / 神経科学 |
Research Abstract |
雌による雄の求愛を受け入れて交尾をするか否かという意思の決定は性淘汰などの進化の諸過程において重要な役割を果たすと考えられている。そこで本研究では、脳神経回路を単一細胞レベルの解像度で解析することが可能であるキイロショウジョウバエをモデルに、雌の性的受容性を制御する神経細胞の同定を試みた。昨年度、雌の性的受容性を制御する神経細胞の候補として、約50個の嗅覚二次投射神経細胞から構成されるD細胞群(仮称)を同定した。D細胞群には6種類の二次投射神経細胞が含まれており、それらはそれぞれ異なる嗅覚受容体を発現する6種類の嗅受容細胞とそれぞれ特異的に接続する。本年度は、これら6種類のうちのどの嗅覚伝達経路によって処理される嗅覚情報が、雌の性的受容性に影響を及ぼすのかを調べた。その結果、嗅覚受容体Or47bによって受容される嗅覚情報が雌の性的受容性を制御していることが示唆された。Or47bを発現する嗅受容細胞はキイロショウジョウバエの体表面から発せられる匂いに応答するため、種の識別に寄与していると考えられている。また、Or47b発現嗅受容細胞では神経系の性決定遺伝子であるfruitlessが発現しており、その軸索末端には顕著な性差が見られ、雄のほうが大きい。さらに、Or47b発現嗅受容細胞と特異的に接続する二次投射神経細胞(D細胞群の一部である)もfruitlessを発現しており、性差を示す脳領域へと軸索を伸ばしている。以上から、Or47b発現嗅受容細胞は性特異的な嗅覚情報処理に関与していることが考えられ、雌が同種の雄と選択的に交尾をするために重要であるという可能性が示唆される。本研究成果は、行動を制御する神経回路の設計原理を単一細胞レベルで理解することにつながるのみならず、生殖隔離や性淘汰といった進化の諸過程の重要なメカニズムの解明にも役立つことが期待される。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)