Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2012: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
|
Research Abstract |
本年度では,昨年度に収集した定型発達児,自閉症スペクトラム障害児を対象に行った欺き行為の発達過程を検討するための行動実験データについての論文執筆を行った。また,定型発達児における欺き行為の神経基盤の検討を目的として機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いた実験を行った。欺き行為に焦点を当てた先行研究においては,その大多数が青年期,成人期を対象として実施されており,児童期を対象とした先行研究は存在しない。さらに,他者の知識状態や心的状態の理解を伴った欺き行為に関してはこれまで焦点が当てられてこなかった。我々が日常生活の中で欺き行為を行う場合,必ずその行為の受け手である他者の知識状態これらの問題点を踏まえ,本年度の実験では,アニメーションを用いて他者の心的状態を考慮した欺き行為の神経基盤を捉えることを目的とした。定型発達児10名の脳機能データを解析した結果,他者の心的状態を理解する処理に関しては右側楔前部の活動との関連が,欺き行為に関しては右側上頭頂小葉の活動との関連が示された。先行研究の結果より,右側楔前部は他者の視点取得をする際に活動することが示されており,本実験では,他者の心的状態を理解する際に視点取得を行う活動を反映していると考えられた。また,右側上頭頂小葉の活動に関しては,反応抑制との関連が示されており,欺く際に真実反応を抑制し,虚偽反応を行う活動を反映していると考えられた。 この結果はFrontier in Human Neuroscienceに投稿し,現在査読中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は,知的発達の遅れのない自閉症スペクトラム障害児を対象とした欺き行為の神経基盤の検討を目的としていたが,自閉症スペクトラム障害児のリクルートが遅れている状態である。この背景には,対象としている知的発達の遅れのない自閉症スペクトラム障害児の数が少ないことが問題として挙げられる。このことから,長期的にデータ収集をしていく必要があると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は,自閉症スペクトラム障害児の対象児の確保とともに,自閉症スペクトラム障害児を対象とした心理学的検討を行った先行研究においては,欺き行為とそれに影響を与える認知的処理機能に関する知見が少ないため,自閉症スペクトラム障害児を対象として行動実験を行う予定である。
|