Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2012: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2011: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2010: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
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Research Abstract |
最終年度において,青年期の子どもの家族(父-母-子)141組を対象に,両親に1ヶ月の間課題を提示し,課題前と課題後の家族関係(結びつき・会話量・勢力・攻撃性)や家族全体の凝集性の変化の過程を子どもの視点から比較検討した。実験課題としては,家族内のコミュニケーションが肯定的になるような5つの課題を設定した。具体的には,"父子間の直接的コミュニケーションを操作する群(A群)","母子間の直接的コミュニケーションを操作する群(B群)","父母間の直接的コミュニケーションを操作する群(C群)","父子間で母親の事柄に関する情報伝達を操作する群(D群)","母子間での父親の事柄に関する情報伝達を操作する群(E群)"の五つの課題を提示した。以上の5群を実験条件として設定し,実験協力者をランダムに振り分けた。その結果,"E群"が,"A群"よりも父子間での会話量が増加することが示唆された。また,"E群"が,"B群"や"C"群"よりも家族全体の凝集性を高まることが明らかにされた。 以上の知見は,家族内のコミュニケーションに関する先行研究では,子どもと一方の親(例:母親)との間で,他方の親(例:父親)についての情報伝達がされることで,子どもと他方の親との関係性にも影響を与えるという点,つまり間接的な影響という点が欠如していた問題点を解消する一つの知見をになった。さらに,カウンセリング場面で,親子関係を変化させる際に,必ずしも父子間の直接的なコミュニケーションを操作するだけではなく,母親を介して父子関係や家族の凝集性を変化させる可能性が示された。この知見は,家族支援に関わる援助者が,両親を通じて効率的に家族関係を調整していくための重要な知見になった。
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