Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2012: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
本研究で開発した高感度光電子収量分光/高感度低エネルギー光電子分光複合実験装置を用いて,実際の有機薄膜太陽電池と同様の膜厚構造をもつC_<60>/ルブレン/金界面の電子構造を測定した.ルブレン/金界面について,埋もれた界面の電子状態を一般のHe I励起光電子分光よりも高感度に検出し,金基板のフェルミ準位までルブレン薄膜そのものに由来する微少状態密度が存在していることがわかった,また,C_<60>/ルブレン界面について,実際の太陽電池と同程度の圧膜積層構造における電子構造の観測に成功し,界面形成のごく初期の課程でモルフォロジーの変化が生じることを見出した. 従来の紫外光電子分光では試料帯電の問題から,実デバイスと同様の圧膜積層構造をもつ系は測定そのものが困難であった.従ってモデル界面の電子構造測定にとどまっており,実際のデバイスの電子構造を必ずしも反映していないことが問題となっていた,本研究では,試料から放出される全光電子数を必要最小限に抑えつつ高感度に光電子を検出することで試料帯電を克服し,より現実のデバイスに近い構造の電子状態を高感度で測定する実験装置の開発に成功した.また,1.4-8.0eVの波長可変低エネルギー光源を用いることによってHeIを励起光源に用いた場合に比べて光電子の検出深度を大きくすることができ,埋もれた界面をこれまでよりも高感度に観測できることもわかった. 多くの有機半導体及び有機デバイスにおいて存在すると考えられているエネルギーギャップ内の微少状態密度を実デバイスに則って測定できる本手法の開発は,有機デバイスの動作機構の根本理解につながる重要な成果である.
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