1920-40年代の検閲とメディアに関わる作家の総合的研究―永井荷風を視座として
Project/Area Number |
10J07174
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Japanese literature
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
岸川 俊太郎 早稲田大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2010 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 日本近代文学 / 永井荷風 / 日仏交流 / 検閲 / メディア |
Research Abstract |
本研究は、検閲とメディアをめぐる同時代の社会・文化・政治的環境の分析を通して、同時代に通底する表現機制に対して試みた荷風の文学的営為の内実を解明し、この作家の全体像を刷新することを目指すものである。 当該年度は、昨年度に引き続き、大正期に発行された日仏交流雑誌『極東時報』に着目し、同誌の主筆を務めたフランス人アルベール・メーボンと荷風の関係について、日仏両方の同時代資料に基づきながら更なる調査を行った。具体的には、海外調査としてフランスに赴き、フランス国立図書館等をはじめとする研究拠点で資料収集を行い、荷風と交流のあったメーボンの活動、フランスでの『極東時報』の流通の実態等の解明に努めた。これによって、大正期における出版・雑誌メディアの受容と日仏文化の交差という開かれた文化・社会的状況から荷風の文学環境を捉え直すことができた。 さらに、当該年度は昨年度から継続してきた出版メディアと検閲に関する資料調査を踏まえて、検閲とメディアの相互関係の観点から、戦中から占領期、戦後にかけての荷風の文学活動について考察した。この研究テーマの蓄積を基に、2011年12月、パリで開催された早稲田大学とフランス国立東洋言語文化大学(INALCO)の共同研究「記憶の痕跡」のシンポジウムにおいて研究発表を行った(「記憶と記録の痕跡-永井荷風の戦前・占領期・戦後を軸として-」)。さらに、この学会発表を深化させ、研究論文として結実させた。その成果は、今秋刊行される論文集『記憶の痕跡-WIJLC報告』に収録される予定である。 また、当該年度における研究調査の過程で、全集未収録の荷風書簡を発見した(現時点で四通)。いずれの書簡も、荷風の滞米時代に書かれたもので、当時深刻な創作不振に陥っていた荷風の文学的「空白」に新たな光を当てる貴重な資料群といえるものである。これらの資料群を解明し、滞米時代の荷風の文学的営為を究明する作業は着実に進んでおり、その研究成果の一部は現在学会誌等に投稿準備中である。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)