Project/Area Number |
10J07325
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Philosophy/Ethics
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
島村 修平 日本大学, 文理学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2010 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 自己知 / 一人称特権 / 合理性 / 行為者性 / 透明性 / 信念 / 意図 / 欲求 / 命題的態度 / コミットメント / 外在主義 / 一人称権威 |
Research Abstract |
本年度の研究成果は、大きく以下の二つにまとめられる。 第一に、報告者は、合理的行為者性説が心的帰属実践に注目することで一人称権威の必然性を理解する有効な道筋を示唆していると論じた。しかし同時に、従来提案されてきた合理的行為者性説にはまた、共通する問題点として、説明としての実質性に疑問の余地があることが挙げられる。報告者は、こうした問題が生じてしまう原因をそれらの説明が持つある形式的特徴に求めた上で、そうした特徴を排した合理的行為者性説を提案することで、一人称権威の必然性に対する実質的な説明を与えようと試みた。 次に、第二の成果について。仮に合理的行為者性説によって、なぜ一人称特権がなくてはならないのかが説明されたとしても、依然としていかにして一人称特権が可能なのかという問いは残る。透明性説は、この問いに対する有力な応答の一つである。報告者はまず、命題的態度の例としても頻繁に取り上げられる信念と意図の二つを取り上げ、透明性説がそれらに対する自己知に説得的な説明を与えると論じた。しかし他方、申請者また、透明性説がある命題的態度に適用可能であるために満たすべき条件を一般的に特定し、この条件に照らして、もう一つの重要な命題的態度である欲求に関しては透明性説が適用できないということを示した。この帰結を受け、申請者はさらに、欲求に対する一人称特権がいかにして可能であるのかに関する独自の説明を提案し、この説明が、透明性説の利点を引き継ぎつつも、透明性説とは実質的に異なるものとなっていると論じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一の研究成果については、和文誌に投稿し、公刊することができた。また、第二の研究成果については、国内の招待講演、及び海外での国際会議にて口頭発表し、現在英文誌への投稿を試みている。以上の経過を鑑みて、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究を進めるに当たっては、まず残る研究課題(4):「意味論的推論主義」という道具立てを用いた、「外在主義」と「権威的自己知」の両立の問題の解消を中心に取り組んでいきたい。報告者は2012年初頭から現在に至るまで海外研修のため米国・ピッツバーグ大学にVisiting Scholarとして滞在している。ピッツバーグ大学には、推論主義の提唱者として知られる、R.ブランダム教授が在籍している。報告者は、教授の指導を仰ぎつつ、当該研究を進めていきたいと考えている。
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