Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
|
Research Abstract |
本年度の研究では,四川省都江堰市近郊の虹口に露出した龍門山断層の内部構造の記載と,現地で採取した断層ガウジを用いて数mmから1.3mm毎秒までの幅広い速度領域で摩擦実験を行った.断層記載の研究では,(1)およそ30mにわたって断層ガウジ帯・角礫帯が帯状に分布していること,(2)地震時の変形は5-10mmの非常に薄いゾーンに集中していること,(3)断層岩には広くアモルファスカーボンが含まれており,coseismicな断層面近傍にはグラファイトが顕著に濃集していることが明らかになった.また,広島大学に設置した高速摩擦試験機を用いた摩擦実験では(1)断層ガウジは顕著なすべり弱化を示すこと,(2)数十cm毎秒以上の高速領域では顕著な速度弱化を示すこと,(3)slip-weakening-distance (Dc)は垂直応力・速度依存性があることなどが明らかになり,これらの結果から地震時などの高速度の断層運動では,摩擦挙動にすべり距離-速度依存性(distance-rate law)が成り立つことが明らかになった. 本研究の目的である地震の発生機構を明らかにするためには,地震を引き起こした断層帯の内部構造を調べ,断層の物理的性質を実験的に決めることが不可欠であり,それらを比較・検討することにより,物理シミュレーションなどに提供できるパラメーターが得られると考えられる.そこで,本年度は2本の論文として現地調査と実験の結果を発表したことで,発生メカニズム解明のための基礎となるデータを公表することができた.今後の課題としては実験後のサンプルの詳細な解析と,現地で行われている掘削コアとの比較,水理学的特性の決定が挙げられる.今後はこれらの課題に取り組んでいきたい.
|