Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
「表皮において合成される極長鎖脂肪酸(VLCFA)が,維管束におけるサイトカイニン合成を負に制御することで,植物体全体の細胞増殖を調節する」という概要で論文を執筆し,投稿した。しかし,査読には回ったものの,更なる裏付けが必要と判断され,一旦棄却された。そこで,その査読結果をもとに,新たな研究実験を実施してきた。その結果,まず,表皮におけるPAS52の発現が正常な生育に必須であることがより明確になった。加えて,VLCFAがクチクラワックスを介さない経路でサイトカイニン合成を制御し,細胞増殖を調節している可能性がより強まった。さらに,VLCFA欠損によりサイトカイニン合成が増加して,細胞増殖が活発になっているというこれまでの研究結果が確固となった。その他いくつかの研究実験を加え,必要な研究結果は23年度中にほぼ得られたため,24年度上旬に加筆・修正を行い,再投稿できる段階に到達した。 上記研究テーマに加え,VLCFAが色素体の分裂や機能維持に与える可能性を追求したところ,良好な結果を得ることとなった。まず,PAS2-1変異体がアミロプラスト内部にデンプンを野生型の10倍程度蓄積することを明らかにした。加えて,PAS2-1変異体のアミロプラストおよび色素体は,数が減少して一つ一つの大きさが大きくなることが新たにわかった。そこで,葉緑体の分裂プロセスにおいて主要な役割を担うタンパク質,FtsZの葉緑体における局在を観察した。その結果,野生型では通常,色素体の中央にFtsZが重合して一本のリングを形成するが,VLCFAが低下した植物体では,複数のリングを形成するようになった。加えて,通常は観察されないドット状のFtsZタンパク質の局在を示すようになった。したがって,VLCFAは色素体分裂面へのFtsZタンパク質の正常な局在を制御していると考えられる。これらの結果もまとめ,論文の執筆をほぼ完了した。
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