Project/Area Number |
10J07763
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
数理物理・物性基礎(理論)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
仲井 良太 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2010 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 量子スピン系 / トポロジカル超伝導体 / キタエフ模型 / 時間反転対称性 / トポロジカル絶縁体 |
Research Abstract |
今年度は前年度に引き続き、時間反転対称な2次元量子スピン系におけるトポロジカル相の研究を行った。トポロジカル相は従来の自発的な対称性の破れとな異なる、ギャップの開いた新しい物質相である。トポロジカル相の中でも、時間反転対称性などの離散対称性を課すことによって実現するものは、「対称性で守られたトポロジカル相」(SPT相)とよばれ、量子スピンホール系や時間反転対称なp波超伝導体などが例として知られていた。本研究で導入した模型は、量子スピン系においてSPT相を実現する模型であり、量子スピンホール系などと同じZ_2のトポロジカル不変量で特徴づけられるということを調べた。 トポロジカル相の重要な性質のひとつとして、物質の端に安定な束縛状態が形成されることが知られている。本研究ではこの端状態の存在を数値的、解析的手法によって調べることで、模型の基底状態の相図を求めた。さらに時間反転対称なトポロジカル相を決定するもう一つの手法として、ギャップの閉じた相と開いた相の両方にあらわれる平坦バンド使った議論を行った。平坦バンドは1次元のwinding numberによって特徴づけられ、それらが断熱的に変形する際に時間反転対称性から来るクラマース対が守られることから、平坦バンドの出現の仕方とトポロジカル相を関係づけることができる。これらの議論は時間反転対称なトポロジカル相を様々な見方からとらえる手段を与えたことになる。本研究ではさらに、同様の模型を1次元でも構成し、トポロジカル相を実現することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
低次元系における物性として、本研究では量子スピン系のトポロジカル相に着目し、量子スピンホール系などで実現されているZ_2不変量とよばれる新たなトポロジカル不変量で特徴づけられる量子スピン模型を構成することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
量子スピン系のトポロジカル相の研究として本研究では自由フェルミオン系に等価な模型を考えたが、一般的には本質的に相互作用多体系であるような量子スピン系においてのトポロジカル相の研究が必要となるだろう。これらの研究を本研究の延長として行うためには、平均場などの近似手法によって自由フェルミオン模型に変換するなどの方法が考えられる。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)