Project/Area Number |
10J07795
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理(実験)
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
岩切 渉 埼玉大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2010 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2012: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 降着駆動型パルサー / サイクロトン共鳴 / 中性子星連星 / サイクロトロン共鳴 / X線偏光計 / 連星X線パルサー / X線偏光 |
Research Abstract |
今年度の前半は、主に博士論文の執筆を行った。前年度にAstrophysical Journalに受理された降着駆動型パルサー4U1626-67の観測結果の論文の内容を元にして、日本のX線天文衛星すざくとNASAのRXTE衛星による観測データを合わせて中性子星磁極の強磁場中におけるプラズマの輻射輸送に関する研究を博士論文としてまとめた。2006年の観測は自転周期がスピンダウン、2010年はスピンアップしている状態で、これらは磁極への物質の降着率の違いを表していることが予想され、二つの観測データを比較することにより、プラズマの密度の違いが放射伝播、主にサイクロトロン共鳴エネルギー帯域においてどのように影響するかを探った。2006年に共鳴エネルギー帯域に観測された輝線likeな構造は、2010年では吸収と輝線両方の構造をもつより複雑なものに変化している兆候を発見した。このような変化は、長野高専の西村治准教授の行った磁場勾配を含むプラズマ中の共鳴散乱の理論計算結果と矛盾が無い。これらの結果をまとめて、2012年8月に博士論文を提出、審査会を行い、同年9月に博士号を取得した。 その後、自身の博士論文の結果を実際に欧米の研究者達と議論すべく、ドイツのテュービンゲン大学教授のAndrea Santangelo博士のもとに赴き、セミナーを行った。テュービンゲン大学は降着駆動型パルサーに詳しい科学者が世界で一番多く集結している大学であり、多くのPD達と議論を行い、この結果をもとにした今後のテュービンゲン大学との共同研究に関する可能性まで議論を行った。さらに、アメリカのNASAゴダード宇宙飛行センターに赴き、NASA所属のKatja Pottschmidt博士と学生達とも議論を行い、日本に帰国してからもテレビ電話等を通じて会議を行っている。また、ゴダード宇宙飛行センターでは、Keith Gendreau博士らと今後のX線偏光計開発に関する議論、特に自身のDC1初年度に長期滞在して行った小型X線発生装置に関して、将来計画に対する議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、これまで自身が行ってきたサイクロトロン共鳴構造に関する研究を博士論文としてまとめたことである。そして、それらの結果について世界中の研究者と議論を行い、降着円筒中のプラズマを考える際には磁場勾配を考慮すべきである新たな見解を得られたことが評価の理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、まずヨーロッパ側と協力を行い磁場勾配まで含めた降着円筒からの放射に対するモンテカルロシミュレーションを行い、シミュレーション結果を観測データと定量的に比較できるようモデル化を行い、実際にデータと比較を行っていくことが重要であり、これらの結果を逐次論文としてまとめていく。また、まだ達成されていない降着駆動型パルサーからのX線偏光観測を実現すべく、アメリカNASAと協力を行い新型X線偏光計の開発及び実際の観測提案を行う。
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