Project/Area Number |
10J08037
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理(理論)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荒木 康史 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2010 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2012: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 低次元系 / 電子相関 / グラフェン / トポロジカル絶縁体 / 格子ゲージ理論 / 量子色力学 / 強相関電子系 / 強結合展開 / 競合現象 |
Research Abstract |
前年度までにおいて、本研究課題ではグラフェンにおける電子間相互作用の効果とそれに伴う秩序現象に関して、蜂の巣格子上で定義された量子電磁気学(格子ゲージ理論)の記述を基にして議論した。本年度はこれを踏まえ、取り扱う系をグラフェンだけでなく、同様の理論で記述される強相関する2次元電子系へと拡張した。グラフェンと同様に蜂の巣格子構造で記述される系として、2次元トポロジカル絶縁体の有効模型の一つであるKane-Mele模型が存在する。この模型のトポロジカル相構造は電子間相互作用が無い場合についてはKaneとMeleが模型を提唱した当初から良く知られているが、電子間相互作用の下でこの相構造がどのような影響を受けるかは議論の余地がある。 本研究員はこの問題を扱うため、先述の蜂の巣格子上でのゲージ理論の考え方をKane-Mele模型に拡張し、強結合極限におけるスピン密度波(反強磁性)秩序の振舞いについて解析を行った。その結果、相互作用の無い場合には存在しなかった新奇な相が相互作用によって生み出され、トポロジカル相構造も大きく変化することを示した。この相は従来のトポロジカル絶縁体とは異なりギャップレスの南部-Goldstoneモードを持つため、量子ホール効果などの輸送現象も異なる振舞いを示すことが期待される。また、この相構造は強結合における格子QCDの相構造と類似しており、トポロジカル絶縁体の相構造に関して、既に多くの研究が行われている格子QCDの相構造を元に様々な知見が得られることが期待される。本研究の成果は、現在Phys. Rev. B誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は本来グラフェンという限られた物理系における電子の性質を対象としていたが、本年度はこれをさらに拡張し、グラフェンだけでなく一般的なトポロジカル絶縁体における議論に拡張することができた。 さらに格子ゲージ理論の記述を用いることにより、これによって得られた相構造を量子色力学(QCD)の相構造と関連付けることができた。
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