高解像度モデリングに基づく南大洋における水塊変質過程の定量化
Project/Area Number |
10J08038
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Meteorology/Physical oceanography/Hydrology
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浦川 昇吾 東京大学, 大気海洋研究所, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2010 – 2011
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
|
Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
|
Keywords | 熱塩循環 / 海洋大循環モデル / 水塊変質 / 南大洋 / キャベリング / 数値拡散 / 中規模渦 |
Research Abstract |
本研究の研究対象領域である南大洋では、様々な水塊が海面浮力フラックスや混合の影響を受けてその特性を変質させていくと考えられている。この水塊変質を定量的に議論することは、気候の維持・形成に大きな役割を果たす熱塩循環の質量バランスを論じる上で重要な課題である。本研究では特に海水の状態方程式の非線形性に起因するキャベリングと呼ばれる現象の効果に着目した。先行研究ではこの非線形効果が南大洋での水塊変質において無視できない程の寄与を持つ事が示唆されている。しかしこの結果は、水塊混合に重要な中規模渦を陽に解像しない低解像モデルに基づくものであり、キャベリングの効果の定性的・定量的妥当性は渦解像モデルを用いて検証する必要がある。前年度の研究では水平拡散係数がある基準値よりも小さい場合、移流スキームに伴う数値拡散が卓越することがわかった。その大局的な影響は陽な拡散と同様のものであることが確認できたが、その効果は陽な拡散が卓越する程度に拡散係数を設定した実験によって更に検証されるべきである。そこで本研究では前年度行った理想化実験の結果を参考に、陽な拡散が卓越し得る拡散係数を選んで再度南大洋の高解像度モデリングを行った。その結果、この実験では陽な拡散によって多量の底層水が消失していることがわかった。前年度確立した手法を発展させ、前年度の実験でも数値拡散の効果を診断したところ、その影響は小さくなるものの多量の底層水消失がここでも確認できた。この原因としてはモデル内での底層水生成不足もしくは過大な拡散現象の再現の2つが考えられる。後者の場合、前年度得た見積りを再考しなければならない。そこで南極沿岸での高密度水形成をよりよく再現したモデル結果等を用い、現実的な底層水形成率を見積った。その結果、本年度の実験では拡散が過大であるが、昨年度の実験は底層水生成不足で同問題点がほぼ説明できることがわかった。逆に言えば、本研究で用いた渦解像モデルでは現時点で最高精度の移流スキームを用いようと数値拡散の問題から逃れられないことになる。本研究の結果は今後の海洋渦解像モデリングに対し拡散係数の選択という点で1つの重要な指針を提供するものである。
|
Report
(2 results)
Research Products
(2 results)