Project/Area Number |
10J08213
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Inorganic materials/Physical properties
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
尾崎 友厚 大阪府立大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2010 – 2012
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
|
Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2012: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
|
Keywords | 誘電体 / 非鉛誘電体 / 透過型電子顕微鏡 / 圧電体 / 磁性誘電体 |
Research Abstract |
本研究では、ナノスケールでの相分離構造(多重秩序構造)を制御することにより、マルチフェロイック物質がもつ磁気誘電相関現象とリラクサー誘電体がもつ優れた誘電特性を融合させ、新たな非鉛系機能性材料を創製することを目的としている。今年度は非鉛系機能性材料として強誘電体BiFeO_3(BFO)に着目し、誘電特性や圧電特性などの物理的特性の評価とともに透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた微細構造解析を行うことで、圧電特性向上の機構を求める研究を行った。以下に研究成果を示す。 BiFeO_3-BaTiO_3-Bi(Mg_<0.5>Ti_<0.5>)O_3系について、透過型電子顕微鏡観察により相境界での微細構造の変化に着目し、巨大圧電歪みの起因を探る研究を実施した。BT-BMT-BFO系について微細構造解析を行った結果、BaTiO3を多く含む組成ではナノスケールでの菱面体構造と立方晶構造の二相共存状態による分極ナノドメインが形成されることを明らかにした。分極ナノドメインはリラクサー強誘電体で巨大な誘電応答を発現する起因となるものであるから、本系においても分極ナノドメインが圧電特性向上の一因を担っていると考えられる。一方、Bi(Mg_<0.5>Ti_<0.5>)O_3を多く含む組成ではBiFeO_3が持つ酸素八面体の回転による<111>方向への超格子構造が維持されていることが明らかになった。また、Bi(Mg_<0.5>Ti_<0.5>)O_3の固溶により、ドメイン境界の菱面体双晶界面からの乱雑な湾曲が起こることが分かった。これらの結果から、Bi(Mg_<0.5>Ti_<0.5>)O_3の固溶では二相共存化のような相分離が起こらずに超格子構造を維持したまま相境界で分極回転を起こしていることが示唆された。以上のように、BT-BMT-BFO系の巨大な圧電応答は相境界での相分離によるナノドメイン化と分極回転による分極自由度の向上の二つの要素により誘起されている可能性がある。 また、ナノスケールでの誘電ドメインの外場に対する動的挙動を明らかにする研究では、その場観察で成果を上げるには至らなかったが、電場印加用TEM試料の作製など誘電ドメインの外場応答を調べるための実験環境の整備の進展は得られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要でも記述したようにBT-BMT-BFO系の研究において巨大圧電歪みが観測された組成で分極ナノドメインや分極回転を示唆する挙動をTEM観察で捉えることに成功した。我々は去年までに分極ナノドメインや分極回転の導入方法を提案しており、同様の原理で巨大圧電歪みを持つ試料でもこれらが確認された事は我々が提案した圧電特性向上の機構の裏付けとなる重要な成果である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今回の研究期間ではTEM内での電場印加による誘電ドメインの動的挙動を捉えることは実現できなかった。そこで、TEM内での電場印加実験の前段階として、事前に分極処理を施した試料からTEM試料を作製し、分極処理前のものと比較する、という手順の実験を行い、確認試料YMnO3において、未分極処理の試料でみられる180度ドメインの分極方向が、一方向に揃った領域の観察に成功している。今後は、今回実施したようなex-situな実験手段で研究を進めると共に、引き続きin-situでの電場印加観察を実現するためドメインの動的挙動を観察可能なTEM試料の作製を試みたいと考えている。
|
Report
(3 results)
Research Products
(24 results)