Project/Area Number |
10J08224
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
芸術学・芸術史・芸術一般
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新堀 歓乃 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2010 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 近代 / 現代 / 日本 / 声明 / 仏教音楽 / 音楽 / 中国 / 東アジア / 音楽学 / 音楽研究 |
Research Abstract |
本研究は、近現代の日本において声明という仏教音楽に関する研究、記録(録音・録画)、公開演奏といった音楽活動がいつどのように開始され、その後いかに展開してきたのかを解明することを目的とした。第一年度には近代の音楽活動に、第二年度には現代の音楽活動に焦点を当てて研究を進めたため、第三年度にあたる本年度は、これまでの研究結果を総括すると同時に、総括した結果を中国の音楽と比較することを通じて、アジア音楽研究における本研究の位置づけを行った。その具体的内容は次の二点である。 (1)声明に関する音楽活動(研究・記録・公開演奏)について近代から現代までの流れを総括した結果、声明が日本の仏教音楽として一般に広く知られるようになったのは、声明研究が声明の記録や公開演奏の進展を促したためであることが明らかになった。 (2)(1)で総括した内容のうち声明研究史に関わる成果を、同じ仏教を共有する中国の場合と比較することを通じて、アジア仏教音楽における日本声明研究の位置づけを行った。その結果、1.近現代には日本の声明を中国の仏教音楽と比較する研究がわずかながら行われてきたこと、2.その研究は仏教史学が提唱してきた「東アジア仏教」と、民族音楽学(比較音楽学を含む)の領域で用いられてきた「東洋音楽」という二つの概念と関係を持つことが明らかになった。 以上の研究成果は、仏教音楽に関する研究が実際の音楽伝承に与えた影響を指摘するものであり、今後の音楽研究と音楽伝承との関係を問う議論へとつながる点に意義がある。また、本研究成果を特に中国へ向けて発信し、中国人研究者との共同研究の基盤を築いたことは、今後の日中学術交流を促す上で重要性を持つ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画した研究項目をすべて実施し、その研究内容を国内外の学会等で当初の計画(2件)よりも多く発表した(実績6件)。また、その成果の一部を論文にまとめて当初の予定(1本)よりも多く国内外で発表した(実績3本)。 その結果、計画していた以上の成果として、今後の研究である中国仏教音楽との比較研究の基盤を築くことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究によって中国仏教音楽との比較研究の基盤を築くことができたため、今後は中国における仏教音楽資料(著述論考・録音・録画・舞台公演の記録)を重点的に収集し、本研究で解明した近現代日本における仏教音楽の成立過程と比較することを通じて分析し、両国における仏教音楽の関係を考察する。資料収集は中国現地で行う必要があり、またその資料を分析・考察するにあたっては、近現代中国における音楽研究の動向に詳しい中国人研究者と情報交換を行う必要があるため、日本学術振興会の海外特別研究員(派遣先機関:中国北京の中央音楽学院)を申請中である。
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