Project/Area Number |
10J08346
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Physical education
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
横井 惇 東京大学, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2010 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2012: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 運動学習 / 運動制御 / 到達運動 / 両腕運動 / 心理物理 |
Research Abstract |
両腕運動中は、左右の腕がお互いの腕の運動による力学的影響を補償しつつ運動制御を行う必要があるが、そのために左右の運動制御系がどのように両方の腕の情報を統合して用いているかは不明であった。そこで本研究では、「両腕運動中に一方の腕の制御過程において、もう一方の腕の運動情報がどのように統合されているか」、また「左右の制御系の間の相互作用が柔軟な両腕運動の達成にどのように貢献しているのか」について明らかにすることを目的として研究を行った。 前年度までの研究成果から、「制御系の構成素子は両方の腕の運動情報を乗算的に統合している」という結果を得ているが、追加解析および追加実験により「左腕に関する素子が右腕の運動情報をより正確に表現している」という興味深い結果を得た。数理モデルを用いたシミュレーションにより、「非利き腕である左腕の方が、右腕よりも柔軟に反対側の腕の影響を補償することが可能である」という、両腕運動における左腕の優位性を示唆する意外な予測が得られた。、これを実験的に検証するために、さらに20名の右利き被験者と12名の左利き被験者を対象に、両腕到達運動中の一方の腕に、反対側の腕の運動方向に応じて変化する力場を課し、どちらの腕がより速く適応可能かを調べた(実験2)。その結果、仮説通り左腕を学習に用いた被験者が有意に高い学習成績を示した。一方、左利き被験者は右利き被験者のデータと逆の傾向を示したものの、その差は有意には至らなかった。 日常的感覚としては、ビンの蓋を開けるなどといった両腕動作の際の左右の手の役割分担は、右手(利き手)の機能的優位性のみを反映した結果であると思われがちであるが、本研究の結果は、むしろ左手(非利き手)の機能的優位性を反映した結果であるという反直感的事実の存在を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成23年度までの研究で「それぞれの腕の制御系を構成する素子において両方の腕の運動情報が乗算的に統合されている」ことを明らかにした。当初の目的では左右差に関する研究は予定されていなかったが、素子の情報表現に左右差が存在することを示唆する実験結果が得られていたことにより、今回の研究を行った。その結果、確かに素子が反対側の腕の運動を表現する際のパラメータに左右差が存在することが確認された。さらにそこから、両腕運動においては非利き腕である左腕が柔軟な適応能力を有することを示す事ができた。以上のように、平成24年度に行った左右差に関する研究は当初の目的からすると派生的であったものの、十分に興味深い結果を得る事ができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は平成24年度をもって終了するが、今後将来的には、fMRIなどを用いて両腕動作における乗算的情報統合の神経基盤を明らかにしていこうと考えている。
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