Research Abstract |
本研究は,情報処理解析手法と,実験的なペプチドアレイを用いた手法との融合による,新しい手法でデザインしたペプチドで,血管内の環境を模倣した,内皮化促進医療機器を開発するものである.具体的な方法は3ステップにて遂行した. 1.ECM(細胞外マトリックス)構成タンパク質由来ペプチドのスクリーニング(情報処理的解析),2.ペプチドアレイを用いたアッセイ:細胞特異的接着&増殖実験(実験的手法),3.生体適合性マテリアルへの結合⇒動物実験評価 1から,細胞外マトリックスであるコラーゲンIVに特徴的に存在する3残基ペプチド配列を,他のコラーゲンI~Vと比べる事により,907配列発見した.また,2から,内皮細胞に特異的な接着ペプチドを20種類ほど発見できた.3から,2で発見した内皮特異的接着ペプチドを人工血管に使用可能な素材であるPCLへ用いることにより,in vitro,in vivoでの評価を行った.in vitroでは,シート上で内皮特異性がみられ,in vivoにおいては,様々な生物学的検証(免疫染色,SEM写真,ウエスタンブロッティング)から,早期の内皮化が確認された.これにより,ペプチドアレイによる,生体材料のデザインの可能性が示唆され,今後も新たな生体材料の開発に貢献できるものと考えている.
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