Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
本研究では,高性能デバイスに向けて研究が盛んに行われている半導体ナノ構造を局所的に評価して,更なる高性能化へのフィードバックをすることを目的として走査トンネル顕微鏡(STM)を用いており,光照射下でのSTM観測により光吸収特性を局所的に評価できるようになります.本研究ではGaAs基板上に成長したInAs細線構造の試料を用いておりますが,観測する光誘起電流(PIC)信号にGaAsの影響が現れないようにするには,我々が提案した二波長光照射STM観測を行う必要があります. STMによるスピン観測に関して,磁性体のNi探針を用いて円偏光状態の光照射下でSTM観測を行いました.右円偏光・左円偏光状態の励起光の照射によりそれぞれ生成されるスピンの向きが変化し,探針の磁化方向によって流れるSTM電流に違いが生じることが期待されますが,測定では明らかな違いは観測されませんでした.測定装置においては光を斜めからしか照射できないことが一因でSTM電流の変化が弱くなるものと考えられます. フォトンエネルギー依存性からPIC信号スペクトルを観測しますとステップ状の変化が得られ,本手法により1つのナノ構造を選択的に観測して,InAsが量子細線としてではなく量子井戸として働いていることを明らかにできました.この研究内容については,学術論文Japanese Journal of Applied Physicsにて掲載していただきました.また,試料内で形成された井戸の厚さが異なる量子井戸のPIC信号スペクトルを観測しました,ここでは,3.2nm程度の厚さの井戸のPIC信号スペクトルも観測できていると考えております.(但し,STM像は一定電流像であり,直接の形状像ではございません.)最低でも厚さが1nm以上異なるInAs準量子井戸を観測し,PIC信号スペクトルにおいてステップの生じるエネルギー位置がそれぞれ異なることを観測しました.このステップでのエネルギー位置が井戸内の量子準位に対応していると考えております.
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