Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
本研究は,連続的な筋収縮後の血流調節メカニズムを,生体顕微鏡によるラットの脊柱僧帽筋を対象としたin vivoモデルを用いて,筋収縮後の微小血管内径動態および筋細胞内イオン動態の定量により明らかにすることを目的とした.筋細胞内イオン動態の評価に着目した研究項目1では,連続的な筋収縮後の筋細胞代謝動態の評価を,細胞内のCa^<2+>,pHおよびNa^+動態に焦点を当てておこなった.その結果,雄ラットにおいて筋収縮により細胞内のCa^<2+>蓄積が生じ,疲労の進行とともにCa^<2+>の蓄積も増大すること,また,そのCa^<2+>蓄積は雌や卵巣摘出ラットでは生じないことが示された.連続的な筋収縮により初期張力が70%程度低下した筋疲労時においても,pH変化は生じないことが示され,この筋細胞内pH恒常性の維持には乳酸-H^+交換体(MCT)が関与することが示唆された.連続的な伸張性収縮負荷時の細胞内Naイオン濃度([Na^+]_)変化についての検討では,伸張性収縮後の筋細胞内において[Na^+]_iは一定であり,過収縮を生じた筋線維においては,減少傾向を示すことが明らかにした.さらに,バイオイメージング技術にマイクロインジェクション技法を適用し,in vivoでの筋線維毎の振る舞いについて観察をおこなった.これらの成果を第66回日本体力医学会にて口頭発表した.また,ミトコンドリア蛍光色素を用いたin vivoでの筋線維タイプ同定法の確立を目指した.この方法をこれまでの細胞内イオン濃度の計測法に応用することによって,筋線維タイプ毎の代謝動態をin vivoで初めて明らかにすることができると考えられる.また,アメリカ合衆国,カンザス州立大学のPoole教授のもとで,運動時におけるラットへのマイクロスフェア投与による血流測定法を学び,一酸化窒素が運動時の血流調節に重要であることを明らかにした.今後は,これら得られた成果を組み合わせた複合的観察モデルの確立へと発展させることが,活動筋組織における個々の代謝性制御が末梢血管拡張による血流増加に重要であることを示すために必要である.
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