Project/Area Number |
10J09095
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
History of thought
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡名喜 庸哲 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2010 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2011: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2010: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | エマニュエル・レヴィナス / ユダヤ人問題 / ハンナ・アレント / モーゼス・メンデルスゾーン / 哲学 / フランス / 国際情報交換 |
Research Abstract |
本研究は20世紀のフランスの哲学者エマニュエル・レヴィナスの哲学思想を、「ユダヤ人問題」をめぐる近現代ヨーロッパの社会思想史の潮流に位置づけ、その意義を明らかにすることを目的としており、とりわけ(1)レヴィナス哲学における「ユダヤ性」の位相、(2)「ユダヤ人問題」の社会思想史におけるレヴィナスという二つの軸から構成されている。 本年度は、(1)に関しては、レヴィナス思想において特徴的な区分である「倫理」と「正義」ないし「宗教」と「政治」の関係がいかなるものであるかを検討した。また、その主著『全体性と無限』の読解を進め、そこにおいて「生物学的なもの(bios)」がいかなる役割を演じているのかを検討した。 (2)に関しては、まず、レヴィナスと同時代にドイツに生まれ、戦後アメリカに活躍したユダヤ系思想家のハンナ・アレントの初期思想において「ユダヤ性」の問題がいかなる役割を担っていたのかを分析した。戦後のレヴィナスがユダヤ思想の側から「倫理」思想を構築するのに対し、アレントがユダヤではなくギリシャに掉さす政治思想を構想するようになるという点を鑑みると、初期アレントにおける「ユダヤ性」の問題は本研究にとってきわめて有意義な対称軸となるものである。さらに、近代ユダヤ哲学の創始者とも言うべきモーゼス・メンデルスゾーンが18世紀末のドイツ啓蒙主義の文脈で提示した思想は、戦後フランスにおけるレヴィナスの思想的企てを理解する際に、重要な参照項となる。この点について、メンデルスゾーンとレヴィナスの思想的比較の分析および、同時代のフランスにおけるメンデルスゾーン受容についての資料分析を行った。 上記の成果は適宜論文や口頭発表のかたちで公表された。
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