Project/Area Number |
10J09422
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Astronomy
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鮫島 寛明 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2010 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 活動銀河核 / クェーサー / 大質量ブラックホール / 鉄輝線 / 電離ガス / 化学組成 |
Research Abstract |
我々の周りに存在する金属は、もともと星の中で形成され、超新星爆発により宇宙空間へばら撒かれたものである。鉄やマグネシウムといった金属が宇宙初期にどのくらい存在していたのかを知ることが出来れば、それらを作った星の情報、特に宇宙で最初に星が生まれたのはいつかという、天文学でもっとも重要な問題の一つについて大きな知見が得られる。そのような研究は主にクェーサーを観測することで進められている。ところがそれらの研究で金属量の指標とされている輝線強度は、ガスに含まれる金属量以外に、密度、乱流速度、輻射場の強さ、降着円盤のガス降着率などにも大きく依存することが理論計算から指摘されている。このため、輝線強度から正しく化学組成を得るためには、まずガスに働く物理を調べ、組成比以外の物理量による輝線強度への影響を見積もり、補正する必要がある。そこで本年度は、昨年度に引き続き大量のクェーサースペクトルを解析することにより、輝線を放射するガスの物理を調べた。昨年度利用したSDSSアーカイブは新たにデータが更新され、クェーサーについても大量のスペクトルが追加された。そこで、これらの新しく加えられたサンプルについて昨年度と同様の解析を行った。その結果、昨年度発見したガス柱密度とエディントン比の間の相関が、新たなサンプルについても成り立っていることを確認した。以上から、クェーサーの広輝線領域では、エディントン比の大きさによってガスに働く輻射圧の大きさが決まり、それに応じてガスの柱密度が変化し、輝線強度も変化するという描像を提案した。このように輝線強度に与えていると考えられるエディントン比に関してその影響を補正することで、より正確と考えられるガスの化学組成を推定することに成功した。その結果、宇宙で最初に星が生まれたのは、ビッグバン後少なくとも3億年経過した後であるという結論を得た。
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