Project/Area Number |
10J09885
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Japanese history
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
吉永 匡史 工学院大学, 工学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2010 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 日本古代史 / 軍事制度 / 律令 / 交通検察 / 天聖令 / 古代史 / 日本:中国 / 軍事 |
Research Abstract |
当該年度は、(1)古代日本および中国唐代の軍事制度および交通検察システム、(2)書籍の受容からみた古代日本における律令格式の継受、(3)唐令復原研究の手法の深化と天聖令の性格解明、という3点を主たる研究テーマに据え、これを遂行した。 (1)については、平時における軍事力発現の様相の解明という点から、論文「律令制下における関〓の機能」を公表し、中国唐代のあり方については論文「唐代における水関と関市令」を発表した。関は国内支配の重要拠点であり、その防備・検察のあり方を詳細に検討することによって、平時の治安維持活動について比較史的観点から解明する基盤を作ることができた。また、地方の軍事財政の解明を目指して口頭報告「射田と軍団」を行い、史料の乏しい当該分野において、地方軍事組織である軍団の具体的な運営様相の一端を明らかにした。 次に(2)は、論文「『日本国見在書目録』と『律附釈』」(共著『古代中国・日本における学術と支配』に収録)を公表した。本稿は『日本国見在書目録』の刑法家と、これにみえる『律附釈』という律の注釈書について検討し、『律附釈』が唐代の法制注釈書をもとに日本で作られた資料集であることを明らかにした。これによって、日本古代における律令格式受容の一断面を解明することができた。 最後に(3)であるが、第57回国際東方学者会議において「『新唐令拾遺』の編纂について」、東方学会若手研究者支援事業研究会「唐宋期における令の性質についての基礎的研究」では「唐宋期の法制書に引用される「令」の性質」と題して研究報告を行った。唐・宋の令の性格解明と、唐令復原研究の手法の深化を目指したものであり、今後研究を進展させるにあたっては不可避である、基礎的な研究であると位置づけられる。 以上、本年度は律令制と軍事力を中心テーマに据え、日本古代史と中国唐代史の双方において研究成果存公表し、独自の視点で研究を進展することができたと考える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本と唐の軍事力のあり方について、軍事組織だけでなく支配体制の構造を意識しつつ検討を進めており、かつ日唐令の復原・比較研究も研究手法の深化を図ることができた。また律令格式の継受についても、書籍を中心とした文化受容という新たな視野で研究に着手しており、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
軍事構造については、地方軍事力についての研究が主となり、中央兵制の検討をさらに強力に進めていく必要がある。また辺境地域における軍事制度についても課題が残っており、今後これらの点について重点的に取り組んでいきたい。日唐律令制比較研究については、その手法を独自に深化していきたい。 特に、これまで取り組んできた関市令については、交通検察だけでなく市の経済活動についても検討対象を広げる必要がある。また文化受容の観点からは、今後も書籍を中心に据えて研究していく予定である。
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