Project/Area Number |
10J10095
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Functional materials/Devices
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木下 卓巳 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2010 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 色素増感太陽電池 / ルテニウム錯体 / 近赤外光電変換 / 光化学 / 電気化学 / 錯体化学 |
Research Abstract |
本研究は、低コストな次世代太陽電池として期待される色素増感太陽電池のさらなる高性能化に向け、高効率な近赤外光電変換の実現を目的としている。昨年度は、長波長領域に電荷移動遷移(MLCT)を示す様々な金属錯体を合成してきた。そして当該年度は、昨年度の研究によって見出された強いスピン禁制遷移を示す金属錯体の基礎的な物理物性を測定し、光電変換に対する寄与を明らかにすることと、それらを増感色素として用いた色素増感太陽電池のデバイス条件の最適化を行った。基礎物性について、低温のりん光と吸収スペクトル測定などからスピン禁制遷移の帰属を行い、特定の構造で強いスピン禁制遷移が現れることを確認することができた。この知見を基に合成したリン配位ターピリジルRu増感色素を用いた色素増感太陽電池は、1000nmを超える近赤外領域に及ぶ分光感度を示し可視域全域で80%以上の量子効率を実現し、従来の高効率増感色素に比べて量子効率を低下させること無く100nm以上の長波長化に成功した。さらに有機系太陽電池として世界最高となる光電流が得られた。またこの増感色素を用いた太陽電池のデバイス作成条件を最適化することよって10%を超える効率が得られた。一方、従来のシングルジャンクション型の色素増感太陽電池では発電時の熱的損失を伴うので、それらを改善させるために全有機系太陽電池型のタンデム型色素増感太陽電池を作成した。旧来のRu増感色素をトップセルとし、本色素を近赤外光吸収ボトムセルとしたタンデム型色素増感太陽電池において11.4%のエネルギー変換効率が得られ、超高効率有機系太陽電池の実現に向け飛躍的な進歩が見られた。よって本研究は、広帯域増感色素の設計指針を与え、高効率なタンデム型色素増感太陽電池を実現させるなど、高効率化技術の開発に大いに寄与することができた。
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