障害のある親の子育てと家族ケアを行なう子どもに関する社会学的研究
Project/Area Number |
10J40194
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Sociology
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
五十嵐 智子 (澁谷 智子) 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(RPD)
|
Project Period (FY) |
2010 – 2011
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
|
Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2011: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2010: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Keywords | 家族ケアを行なう子ども(ヤングケアラー) / 親子関係 / ケア / 手話 / バイモダル・バイリンガリズム / ライフヒストリー / 語り / 感情労働 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度イギリスで視察したヤングケアラー・プロジェクトの分析データを基に、第84回日本社会学会大会で、「家族ケアを行なう子どもの研究-イギリスのヤングケアラー・プロジェクトを事例として」を発表した。また、日本国内のヤングケアリングについてもアンケート調査を行い、504人の回答の分析を基に、「家族ケアを行う子どもの経験-元ヤングケアラーへの質問紙調査から」を執筆し、『家族社会学研究』に投稿した.さらに、ヤング・ケアリング経験を持つ2人の女性へのインタビュー・データを基に、現在、『理論と動態』への依頼論文を執筆中である。 さらに本年度は、他の共著者と共に『女って大変。働くことと生きることのワーク・ライフ・バランス考』(医学書院、2011年)を出版した。筆者はこの中で「仕事と家事育児-経済構造と文化規範がズレた時代を生きる私たち」を掲載した他、監修者として、あとがきにあたる論文「「女って大変」を考える理由」を執筆した。 聞こえない親を持つ聞こえる子どもの研究については、本年度は、これまでのフィールドワークの結果を織り込みながら、子育て中のろう者やその周囲の人を対象とした、手話による子育て支援DVDを制作した。DVDの中では、子どもへの手話による話しかけ、子どもの手話表現、子どもの保育園や学校との関わり方、同じ立場の子ども同士をつなぐ必要性などを紹介した。また、DVDに音声日本語や字幕をつけることで、手話を知らない人も視聴ができるようにした。これらのDVDは3000部作られて聴覚障害者団体やろう学校等に配布され、産経新聞、毎日新聞、西日本新聞で取り上げられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究目的のうち、ヤングケアラー研究に関するものは、当初の計画以上に進展した。『社会学評論』への投稿論文は査読落ちとなったが、日本社会学会での学会発表を行ない、さらに、日本での独自のデータを収集・分析して、『家族社会学研究』に論文を投稿することができた。また、聞こえない親を持つ聞こえる子に関する子育て支援DVDを完成させ、ケア責任を担う女性についての研究も著書の出版に漕ぎつけた。しかし、バイモダル・バイリンガリズムの発話研究のほうは、震災の影響を受け、第一次査読後の論文書き直しを期日までに仕上げられなかった。これらを総合して、本年度の達成度を(2)とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は今後も精力的に取り組むつもりである。具体的には、去年収集した504人のアンケート調査の報告を英語で執筆し、日本のヤングケアラーの調査として、イギリスのラフバラ大学社会科学部Young Cafers Research Groupを初めとするヤングケアラー研究者や現場の支援者に発信したい。そして、欧米に比べて日本に多く見られる祖父母との同居が実際のヤングケアリング経験にどう影響しているのかなどを、海外のヤングケアラー研究との比較から論じる予定である。この研究は、筆者が2012年4月から常勤の研究職に就いたことを受けて、平成24年度「研究活動スタート支援」事業に申請する研究の一部とする。
|
Report
(2 results)
Research Products
(9 results)