人身取引と「社会福祉」-国際社会福祉の確立を目指して
Project/Area Number |
10J40204
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Social welfare and social work studies
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
佐々木 綾子 上智大学, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2010 – 2014-03-31
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Project Status |
Declined (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥1,787,634 (Direct Cost: ¥1,787,634)
Fiscal Year 2013: ¥100,000 (Direct Cost: ¥100,000)
Fiscal Year 2012: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2011: ¥387,634 (Direct Cost: ¥387,634)
Fiscal Year 2010: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 人身取引 / 男性被害者 / 地域福祉 / 被害者保護 / サバイバー支援 / 米国の人身取引対策 / 現代奴隷制 / 国際社会福祉 / 不法就労 / 日本の恥 / 労働搾取 / 性的搾取 / 社会問題 |
Research Abstract |
本研究は、従来の「社会福祉」枠組みでは扱い難かった国際的で領域横断的な問題とその当事者支援のための制度、理論、技術体系を確立することを長期目標とし、日本における人身取引問題の認知、理解から現在の対応に至るまでの過程の分析から「社会福祉」と人身取引問題に関する現状を成り立たせている背景を明らかにし、今後の対応の可能性を探ることを目的としている。 本年度は、日本の「社会福祉」枠組みにおいて保護が困難な男性の人身取引被害者を保護支援していくための具体的な課題を検討した上で、性別や国籍や搾取の形態に拘わらず被害者を保護支援し、また当該問題の予防を行っていくために、現状では最も適応可能で現実的と思われる「地域福祉」という枠組みから近年の米国の状況を調査、分析した。 その結果、日本では売春防止法に基づく婦人保護事業とは異なる保護支援枠組みの創設、性別や国籍に拘わらない労働者保護の徹底、性風俗産業での被害者の主観的な「労働者観」に基づく訴えへの経済的補償システムの確立と、男女に拘わらない犯罪被害者保護施策の充実が課題である一方、米国では、すでに地域活動に根差した団体や人々とのネットワーキング自体をアウトリーチの方法とし、人身取引への取組みを其々の活動と見合った形で再定義させ、被害者保護からサバイバー支援へと取組みの枠組みを転換させていることがわかった。その取組みは、「支援者vs被支援者」といった二項対立的なものでも「被害者→サバイバー」といった不可逆的なものでもなく、サバイバーシップの持つ肯定的意味づけを過度に「被害者」に押し付けず、人身取引問題を地域のあらゆるステークホルダーの関心と繋げ、エスニシティや性別等の枠組みに基づく資源だけでなく、その時の問題関心を共有するような人々の繋がりやネットワーク、流動的だが柔軟性をもつ多面的な協働力を活用した取組みが行われていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本社会の現状を鑑みるに、人身取引被害者保護支援策の進展を、実現可能な形で提言していくためには現在の研究計画に関して若干の軌道修正を検討する必要があると感じているが、研究自体はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究実施期間内において、日本の人身取引対策に進展がほとんどみられないことから、現状を成り立たせている背景を明らかにするのみならず、具体的な先駆例(例えば米国)をより詳細に調査し、日本に適応可能な形を探っていくことが必要であると考える。今後の研究では、例えば米国での人身取引対策の財源と人材確保の仕組みと特徴、地域の取組みを可能としている背景等を調査し、それをいかに日本に適応させていくかを積極的に検討する。
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Report
(3 results)
Research Products
(9 results)