ドナー/アクセプター型ブロックコポリマーによる構造制御と有機薄膜太陽電池への応用
Project/Area Number |
10J55112
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Functional materials/Devices
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮西 将史 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2010 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | ブロックコポリマー / フラーレン / ドナー/アクセプター / 有機薄膜太陽電池 / 自己組織化 / 機能性半導体高分子 / クリックケミストリー / ポリチオフェン / ドナー / アクセプター / ミクロ相分離構造 / 光電変換素子 / 熱安定性 |
Research Abstract |
現在有機薄膜太陽電池では、活性層として電子ドナーとアクセプターの物理混合構造(バルクヘテロ接合)が広く用いられている。光電変換過程では励起子の電荷分離と、分離した電荷の輸送が重要で、ドナーとアクセプターの相分離を20m程度に制御する必要がある。しかし、単純な物理混合では混合形態の合理的制御は困難で、様々なプロセスの中で偶然に制御された構造を利用しているのが現状である。また、この構造では熱をかけると相分離形態が変化して素子が劣化するという問題が避けられない。そこで、分子設計により合理的に、光電変換に有利でかつ熱的にも安定な混合形態を得る手法論の確立を志向して、本研究ではフラーレン連結半導体ブロックコポリマーの設計を行い、混合に頼らず、この分子のみでドナーとアクセプターのナノスケールの相分離構造を自発的に構築することを考えた。 前年までにフラーレン連結ブロックコポリマーの自己組織化を用いることで極めて熱的に安定な構造を構築した。しかし、厚膜を作製すると光電変換効率が低下し、薄膜中で依然として電荷の再結合が起こっていることが明らかとなった。この原因として薄膜中のフラーレンの連結性が悪いことが考えられたため、分子構造の最適化を行い、フラーレンをより1つのブロックドメインに高密度に連結した分子を合成することに成功した。その結果、より厚膜を作製してもFFが低下せず、高い外部量子効率(EQE)とFFを同時に達成すること成功した。一般に、P3HT/PCBMの系は物理混合系(バルクヘテロ接合)の中でも非常にうまく機能している系であるが、フラーレン連結ブロックコポリマーを用いてP3HT/PCBMの系と同等となるFFとEQEを達成したことから、本手法が物理混合に置き換わるような新たな構造制御の手法となることを示せたといえる。本手法をさらに発展させることで将来的には物理混合の系を凌駕する構造を得ることが可能だと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分子構造が極めて制御されたフラーレン連結ブロックコポリマーの合成に成功し、ドナーとアクセプターの規則的なナノ構造の構築をAFM像で確認できたことから、本研究の概念は概ね達成できたと言える。この分子のみを用いた光電変換素子では、物理混合の系と比較して飛躍的に熱安定性が向上し、また、量子効率、FFの観点でも良好な値が得られた。ドナーとアクセプターを連結した分子にはこれまで多くの合成例があるが、実際のデバイスにおいては著しく性能が低かったのが現状である。本研究は、精密な分子設計に基づいた合理的な構造制御を用いることで、実際のデバイスにおいても、安定性や光電変換効率の点で単純な物理混合を凌駕できる可能性を示した点で十分な進展があったと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で、ドナー/アクセプター連結分子においては、ドナー同士の分子間相互作用、アクセプター同士の分子間相互作用が強いことが高い電荷輸送効率を得るのに重要であることがわかっている。このため、さらに分子間相互作用の強いドナー、アクセプター同士(さらに結晶性の高いドナーや、凝集性の強いアクセプター)を連結させた分子を合成することが考えられる。また、高い電流値を得るために、より光吸収が太陽光とマッチしている低バンドギャップ半導体ポリマーの系へと本概念を応用することが考えられる。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)