^<17>O-NMRによる銅-酸素錯体の配位した酸素の電子構造と反応性の研究
Project/Area Number |
11116229
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
藤井 浩 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助教授 (80228957)
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Project Period (FY) |
1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | NMR / 金属酵素 / 銅イオン / 酸素錯体 / 反応性 / 電子構造 |
Research Abstract |
生体内には、チロシナーゼやヘモシアニンに代表されるような銅イオンを活性中心にもつ酵素が数多く存在する。ヘモシアニンは、無脊椎動物(たこやいかなど)の酸素運搬体であり、チロシナーゼはチロシンなどの酸化を行う酵素である。これら酵素の酸素付加体の構造は、ともに酸素が2つの銅イオンに対してサイドオンで配位したη_2η_2構造をもつが、ヘモシアニンに配位した酸素は可逆的に吸脱着するのに対して、チロシナーゼに配位した酸素は、活性化され基質(チロシンなど)に添加される。類似の構造をとるにもかかわらず配位した酸素の反応性が異なるのである。さらに同様な現象は、これまでの銅2核酸素錯体の反応性にも見られる。エンドオンの形態をとる場合は、配位した酸素の反応性は低く、むしろ酸素は可逆的に吸脱着するが、サイドオンの形態をとる場合は、基質を酸化することができる。 今回我々は、η_2η_2構造をもつ銅-酸素不可錯体を合成し、銅イオンに配位した酸素の^<17>O-NMR測定を行った。10%-^<17>O-エンリッチの酸素ガスから合成した酸素錯体の^<17>O-NMR測定を行った。-60度以上の温度で配位した酸素のシグナルが200ppmに観測された。温度による化学シフトの変化は観測されず、銅イオンからの常磁性の効果がないことがわかった。今回観測されたシグナルのシフトは、過酸化水素の酸素と同様の位置であり、配位した酸素がパーオキソ状態に2電子還元されていることを示した。また、配位子の違いによる化学シフトの大きな変化は観測されなかった。これらの実験から、今回観測されたシフトはη_2η_2構造をもつ酸素分子に特徴的なシフトであることが示唆された。今後さらに、配位構造が異なる錯体を合成して、その^<17>O-NMRを行い、酸素活性化を支配する因子の解明をめざす。
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Report
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Research Products
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