Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
平成11年度は,(1)Pd(110)表面におけるエチレン分子と水素原子の共吸着系,および(2)超高真空中で作成したY薄膜と水素分子・水素原子の相互作用,の2つのテーマについて主に研究を行った. (1)Pd(110)表面におけるエチレンと水素原子との相互作用(理化学研究所との研究):Pd(110)表面では,エチレン分子はPd原子のオントップ位置π結合する.C=C結合は(l10)面のPd最密列方向にほぼ平行に向いている.しかしながら,高分解能電子エネルギー損失分光(HREELS)の精密な測定により,吸着分子系の対称性はC_1であることが明らかになった.すなわち,C=C軸は表面平行方向からチルトしており,CH_2部分も対称性の良い方向からずれていると考えられる.Pd(110)でエチレン分子を水素原子と共吸着させるとHREELSスペクトルは劇的に変化した.分子系の対称性はC_2を示すようになった. (2)Y薄膜と水素分子・水素原子との相互作用:超高真空中でYを電子ビーム加熱により蒸発させ,SrTi0_3表面上に蒸着した.薄膜の膜厚は約100Åである.紫外光電子分光(UPS)によりフェルミ端が明瞭に観測された.X線光電子分光(XPS)により,Y薄膜は中性(金属)であることが観測された.水素分子をY薄膜上に吸着させると,フェルミレベル付近の状態密度が少なくなった.これは水素分子がY薄膜表面に解離吸着することによる.水素分子による水素化それ以上進行しなかった.原子状水素源によりY薄膜を水素化すると,UPSスペクトルは大きく変化した.フェルミレベル近傍の状態密度が大きく減少し,金属特有の明瞭なフェルミ端が観測されなくなった.原子状水素により,表面数層にわたってYが水素化されYH_3に近い状態になったものと考えられる.
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