昆虫中枢神経は、休眠誘導に必要な環境情報をどのように保持するか?
Project/Area Number |
11142201
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
早川 洋一 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (50164926)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 公夫 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (30001663)
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Project Period (FY) |
1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1999: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | 昆虫 / 休眠 / 記憶 / ヨトウガ / 発育阻害ペプチド(GBP) / ドーパミン / ドーパデカルボキシラーゼ / 日長リズム |
Research Abstract |
昆虫休眠は、各々の昆虫が経験した日長時間や気温といった環境条件を認知記憶し、種に固有の発育段階で誘導される生理現象である。本研究では、特に、短日条件で休眠誘導される昆虫において、その短日記憶が中枢神経系でどのように保持されるかを明らかにすることを目的とする。そのため、蛹休眠性のヨトウガを実験材料に用い、休眠誘導に関係すると考えられる2つのファクター、ドーパミンとGBP(growth-blocking peptido)、の中枢神経系における分布及び濃度の変動を解析した。結果を各々のファクター毎に記す。 <ドーパミン>ヨトウガのドーパミン生合成酵素dopadecarboxylaseに対する抗体を作成し、組織免疫染色を行った。その結果、脳内では片側おおよそ4カ所にドーパミン産生細胞群が、食道下神経節及び前顎神経節に産生細胞が各々4個と3個存在することが明らかになった。脳内ドーパミン産生細胞の中には、短日飼育条件化でdopadecarboxylase濃度がより高まる傾向を示す細胞も存在する。ただ、現時点では、まだどの細胞あるいは細胞群が、短日条件と休眠誘導を直接結び付けているものか明らかになっていない。 <GBP>ヨトウガGBPmRNAをプローブに用いin situ hybridizationをおこなった。その結果、GBPmRNAは、脳表層に近いタイプ1及びタイプ2グリア細胞で発現していることが明らかになった。さらに、その発現量は、短日条件飼育によって増加することが明らかになった。 短日飼育下での脳内ドーパミン濃度の上昇、および、単離脳培養系におけるGBPの脳内ドーパミン濃度上昇活性については、これまでの研究によって証明している。今回明らかにした短日条件飼育による脳内GBPmRNAの発現量増加の事実は、短日→GBP発現上昇→ドーパミン濃度上昇を間接的にではあるが証明したことになる。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)