ニューロンの種類や複数の伝達物質を考慮した大脳皮質等の神経回路モデルの構成と解析
Project/Area Number |
11145227
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
青柳 富誌生 京都大学, 情報学研究科, 助手 (90252486)
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Project Period (FY) |
1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1999: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 40Hz oscillation / ion channel / chattering neuron / temporal coding / cortical neuron / synchronization / phase dynamics |
Research Abstract |
従来型の神経回路モデルにおいて、連想記憶の能力や学習における汎化能力などの解析が近年著しく進展しているが、用いられているモデルはかなり抽象度の高い一般的なものが多い。一方、近年の実験技術の進展により実際の脳内のニューロンの構成する回路や発火活動の時空間パターン等がかなりわかるようになってきた。現在の状況は、これら両者の知見を基礎により直接的に実際の脳の部位に対応する神経回路モデルを構成し、その能力を理論的に解析する時期に来ていると言える。本研究の目的は、従来のモデルに欠ていた観点で、生物学的に妥当な側面をモデル化し、その能力を実験とも比較可能なレベルで理論的に研究することにある。 近年、生理学実験により視覚情報処理等において発火の同期を利用し、外界の情報の大局的な構造を統合している可能性が示唆され、その基本的なメカニズムに関心が高まっている。その際にみられる発火は40Hzを中心とするgamma帯域を周期としており、近年のいろいろな生理学実験からchattering cellがその発現に中心的役割を果たすと考えられている。しかしながら、chattering cellが示すバースト発火のイオン機構は十分にわかっていなかった。そこで、近年の生理実験から示唆される反転電位が-45mV付近の新しいタイプのカルシウム依存性カチオンチャンネルをモデルに導入し、シミュレーションを行った.結果として、生理学的にみて妥当なモデルパラメーターで実験事実を良く再現する結果が得られた。さらに、同期・非同期の特性を調べるため2つのchattering cellが相互に興奮性結合した系を考え、そのパラメーター依存性を調べた。結果として、新しく導入したカチオンチャンネルのカルシウム感受性を変えることで同期・非同期をコントロールできることが示された。この感受性は、実際のニューロンではある種の神経伝達物質により調節可能であると考えられ、情報処理に一定の役割を果たしていると思われ、興味深い。これにより実験と比較しうるネットワークレベルの研究への大きな進展であると考えられ、スパイクの時間的構造がどのように高次機能に関わるかを解明する為の重要な知見が得られた。
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Report
(1 results)
Research Products
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