Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1999: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
平成11年度は,発現クローニング法を用いてヒト胃のcDNAライブラリーより単離したα1,4-N-アセチルグルコサミン転移酵素(α4GnT)の特性について解析した.まず,胃粘膜を含む種々のヒト正常組織におけるα4GnTの発現部位を調べるため,α4GnTのC末端側17個のアミノ酸残基に対する特異抗体を作製し,免疫組織化学的に解析した.その結果,この酵素は胃粘膜の副細胞,幽門腺,十二指腸のブルンネル腺,胃粘膜化生を示した膵管上皮のゴルジ野で特異的に発現していたが,他の細胞では全く検出されなかった.副細胞のようなα4GnTを発現している粘液細胞では実際にGlcNAcα1→4Galβ残基を含む粘液が産生されていることから,in vivoにおいてもα4GnTはこの糖鎖の生合成に重要な役割を演じていることが明らかになった.次にGlcNAcα1→4Galβ残基がH.pyloriの接着に及ぼす影響を解析するため,H.pyloriは接着するがGlcNAcα1→4Galβ残基は発現していない胃癌培養細胞,AGS細胞に対して,α4GnT cDNAの遺伝子導入前後におけるH.pyloriの接着性の変化について解析した.その結果,H.pyloriのAGS細胞に対する接着性は遺伝子導入前後で有意な変化がなく,GlcNAcα1→4Galβ残基がH.pyloriの接着に積極的に関与する結果は得られなかった.さらにStanford G3 Radiation Hybrid Panelを用いた解析により,α4GnT遺伝子の染色体上の座が3p14.3であることを示した.ごく最近,私達はα4GnTが胃癌や膵癌細胞でも発現していることを見出した.今後はこのような癌細胞におけるGlcNAcα1→4Galβ残基の発現意義を明らかにしたい.
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