Budget Amount *help |
¥14,200,000 (Direct Cost: ¥14,200,000)
Fiscal Year 2000: ¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 1999: ¥11,000,000 (Direct Cost: ¥11,000,000)
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Research Abstract |
平成12年度はペルオキシターゼの活性中間体であるCompound Iの生成機構を検討するため,独自に開発した高速混合装置を用いて,西洋ワサビペルオキシターゼ(HRP)と過酸化水素との反応を追跡した。装置としては,本研究者らが開発した高速混合装置を改良することにより,時間分解能50マイクロ秒で可視紫外吸収スペクトルことに成功した。この装置を用いて,上記反応を追跡したところ,HRPの休止状態からCompound Iへのスペクトル変化が,ほぼ等吸収点をとりながら観測できた。このことは休止状態からCompound Iの変化において中間体が存在しないことを意味しているが,過酸化水素の濃度に対するCompound I生成速度の依存性は,速度論的な中間体が存在する明らかに飽和現象を示し,Michaelis-Menten型の解析をすることで,その寿命(半減期)が約10μ秒であることが明らかとなった。さらにこの値をもとに,このような寿命を持つ中間体を仮定したモデルを考え,反応後50マイクロ秒後の中間体の存在割合を求めたところ,約15%と見積もられ,その推定される紫外可視スペクトルは休止状態に類似した鉄3価高スピン型であった。このことは,Compound I生成の中間体として,従来想定されていた3価のヘム鉄にアニオン化した過酸化水素(HOO^-)が結合した鉄3価低スピン型ではなく,中性の過酸化水素(HOOH)が結合した状態であると推定できた。このような中間体を形成する反応機構として,中性の過酸化水素がヘム鉄に結合できるように,ヘム近傍の遠位ヒスチジンと遠位アルギニンが同時に過酸化水素と相互作用しているモデルを新たに提出した。
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