Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 1999: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
分子雲には鉱物,有機物,アモルファス氷からなる星間塵が存在し,原始太陽系星雲が形成される時に,加熱による蒸発変成作用を受ける.鉱物や氷では蒸発変成作用の実験的な研究はかなり行われているが,有機物ではほとんど行われていない. そこで,本研究では,有機質星間塵のアナログ物質を,シミュレーション実験の化学分析データを参考にし作製し,それを用いて蒸発変成を行った.蒸発ガスは質量分析計で,蒸発残査は元素分析計などで分析した. 100℃までに出発物質の約75%が蒸発し,180℃までに約98%の出発物質が蒸発することがわかった.また元素組成をみると,100℃までに出発物質に含まれているOとNの大部分,すなわち,分子雲で生成された有機物が蒸発したことがわかった.いっぽう,100℃以上での蒸発残渣はCとHが大部分を占めることから,100℃以上で残る蒸発残渣の大部分は低密度雲で変成を受けた有機物であることがわかった.24-80℃および140-180℃で大量のガスが発生することがわかり,前者はわずかに還元的(C/O=5-7),後者は非常に還元的なガス(C/O=100)であることがわかった. 加熱温度を,降着円盤モデルを用いて,太陽からの距離に換算した.この結果,星間塵中の有機物は2.1AUよりも内側の領域ではほとんど蒸発したことがわかる.有機物が存在したのは2.1AUよりも外側の領域であり,2.1より外側では低密度雲で変成を受けた有機物が,2.5AUよりも外側では,それに加えて分子雲で生成された有機物が存在していたと結論づけられる.
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